2011年の消費総合指数を100とすると、前回の消費増税の影響が顕在化する前の同指数は104・1であり、現在の消費総合指数もまた104・3である(2018年8月)。14年4月の消費増税以降、消費は長く低迷し、ようやく2017年3月に現状並みに戻ってきて今日に至っている。決して力強い回復とはいえないが、それでも前回の消費増税前の水準に回帰してきた。

 別な視点から考えれば、ギリシャ危機、英国の欧州連合(EU)離脱、米大統領選の不透明感などで世界経済が動揺していた影響が消費を押し下げたかもしれない。だが、消費増税以降、その低迷は長く続き、14年4月から増税前の水準に回帰するまで3年もかかってしまっている。

 消費増税は、雇用の面でも停滞をもたらした。この点を完全失業率で見ておこう。

 アベノミクスの効果は、実際には2012年の安倍首相が自民党総裁選に勝利した直後から始まる。ただし、ここでは簡便のために、政権が発足した2012年12月の完全失業率4・3%に注目してみたい。それ以降、消費税率が8%に引き上げられた14年4月には3・6%と、0・7ポイント改善していた。だが、増税以降、失業率の低下は停滞する。同じ0・7ポイント低下するまでに、消費回復と同じようにほぼ3年を要している。

 ちなみに、17年2月から現状まで0・5%低下するのに1年半しかかかっていない。失業率は改善が進むほどに低下スピードが衰えるはずだが、現状の改善スピードよりも極めて遅かったことで、消費増税が雇用にも深刻な影響を与えていたことが分かる。

 しかも、消費停滞や雇用の改善スピードの遅れが17年から修正されたのは、日本の経済政策によるものとは思われない。一つは米トランプ政権の経済政策への期待感や連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策に対する市場の安心感などで、株価が上昇し、円安も促進した。これらが企業の業績を回復させ、雇用の改善スピードを上げ、消費の停滞をなんとか解消させていったのではないか。つまり日本の経済政策の力ではなく、あくまで「他力本願」だということだ。

 もちろん、日銀が金融緩和の姿勢を崩していないという貢献を無視することはできない。金融緩和の継続を放棄すれば、それこそ対外環境が改善されても、「失われた20年」がそうだったように、米国の景気がよくなろうが、日本経済はより深く停滞してしまっただろう。日本の「金融緩和ありき」の状況は押さえるべき必要条件である。

2014年3月、消費税8%引き上げ直前の
駆け込み需要でにぎわう千葉県浦安市内のスーパー(栗橋隆悦撮影)
 さて、今回の消費増税は上げ幅だけ見れば、前回引き上げの7割ほどのショックをもたらすだろう。もちろん、政府では増税後の負担軽減として、軽減税率の導入や、政府が検討している中小小売店でクレジットカードを使い購入した際に、2%をポイント還元するという案もある。

 ただ、軽減税率に関しては、低所得者層に与える影響が限定的で、さまざまな税制が複雑化することで社会的コストがかかるという指摘がある。また、政府がさまざまな負担減を狙う政策の裏には、ちょうどそれを帳消しにするような、新税(出国税など)や公的年金の負担増などが控えている。その正味の効果は分からない。