「ビール飲んでタバコ吸うてナイター見るのが定番やった」

 平成20年に橋下徹・前大阪府知事の意向で大阪府庁内の喫煙所が完全廃止されたが、その7年後に復活している。理由は、タバコを吸う場所を失った府の職員が周辺で路上喫煙するようになってしまったからだ。しかも、その喫煙場所が大阪の大切な観光資源でもある大阪城公園だったから、バツが悪い。やむなく、庁舎の近くの府有地である駐車場に職員用の喫煙所が設けられた。

 この事例が示すのは、喫煙者の中には「吸う場所が無いから路上で吸う」層がいる、ということだろう。そうした意味で身近な例として注目すべきは、お隣、兵庫県の甲子園球場かもしれない。大阪在住の阪神ファンの男性(50代)が語る。

「甲子園は、21世紀に入っても喫煙し放題の球場やったんや。でも、いよいよ時代の波が押し寄せて、ある日、スタンド内は禁煙と発表された。そんなん阪神ファンには無理やと思たわ。ビール飲んでタバコ吸うてナイター見るのが定番やったからな。

 でもな、意外や意外。みんな“決まり”守っとるんやわ。うまいこと阪神が守備の時間だけタバコ吸いに行ったりして、喫煙所のモニター越しに観戦や。隣り合ったファン同士で盛り上がったりな。大阪人のモラルが無いんやない。吸う場所や決まりがあったらきっちり守るんや」

※写真はイメージです(ゲッティイメージズ)
 かつては喫煙しての観戦が当たり前だった甲子園球場のスタンドで、今やタバコを吸っている人は皆無だ。当初こそ喫煙所に人があふれすぎて通路全体に煙が充満していたが、それも2007年からの球場リニューアルにより完全に通路とセパレートされて、改善されている。喫煙室にモニターを設けるといったファン目線の施策も功を奏しているようだ。

 甲子園球場は興行目的の施設のため単純比較はできないが、非喫煙者への十分な配慮はもちろん、喫煙者が吸える場所を確保し、ルール化すれば、前述のような生活圏内での見境のない路上喫煙も減少する可能性があるだろう。今後の万博誘致という目先のイベントのためだけでなく、市民全体のための受動喫煙対策に意識を向けていくことが、本当の意味での大阪の“国際都市”化につながるのではないか。

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