秋山幸雄(元産業医大准教授)

 2018年7月18日、受動喫煙の対策強化を目的とする改正健康増進法が、参院本会議で与党などの賛成多数で可決、成立した。マスメディアは、この改正法を受動喫煙防止法と称して報道した。厚生労働省のホームページの「受動喫煙防止対策」のページで、この法律の概要を知ることができる。

 その基本的考え方は、「望まない」受動喫煙をなくす、受動喫煙による健康影響が大きい子供、患者などに特に配慮、施設の類型・場所ごとに対策を実施、という3点である。そして、改正法では急速に普及している「加熱式タバコ」も規制対象とした。

 加熱式タバコとは、タバコ葉やタバコ葉を用いた加工品を燃焼させず、専用機器を用いて電気で加熱することで煙(正確に表現すれば、蒸気)を発生させるものだ。加熱の方法や温度などは製品ごとに異なる。

 日本国内では、2016年から順次発売が開始され、現在3社から3種類の加熱式タバコが販売されている。シガレット(紙巻きタバコ)と違い、燃焼を伴わないので、副流煙はほとんど発生しない。では、受動喫煙の観点で見た場合、加熱式タバコと紙巻きタバコは同じなのだろうか。結論を先に書くと、決して同じではない。

 厚労省のホームページには、日本で販売されている3種の加熱式タバコから発生する発がん性物質の測定結果が掲載されている。試験研究用の紙巻きタバコからの発生量を100としたときに、加熱式タバコでは、ホルムアルデヒドが10~25、ベンゼンが1以下、ベンゾピレンが2、タバコ特異ニトロソアミンが2~10程度検出されている。

 なお、製品によっては検出されないケースもあったようだ。これらの結果を、「加熱式タバコの主流煙に含まれる主要な発がん性物質の含有量は、紙巻きタバコに比べれば少ない」とまとめている。

 大手タバコメーカー、フィリップ・モリスのホームページには、加熱式タバコの「エアロゾル」(蒸気)と実験用標準紙巻きタバコの煙に含まれる有害成分の測定結果が公表されている。標準紙巻きタバコからの発生量を100としたときに、加熱式タバコでは、ホルムアルデヒドが9・8、ベンゼンが0・66、ベンゾピレンが7以下、タバコ特異ニトロソアミンが2・5程度検出されている。
※ゲッティ・イメージズ
※ゲッティ・イメージズ
 その結果から、加熱式タバコのエアロゾルに含まれる有害成分量は、紙巻きタバコの煙と比較して平均して90~95%低減されていたとしている。

 日本たばこ産業(JT)によると、世界保健機関(WHO)が優先して低減すべき成分として選択している9つの物質(ベンゾピレン 、ホルムアルデヒド 、アセトアルデヒド 、アクロレインなど)を含む健康懸念物質の量を測定してみた結果、紙巻きタバコの煙に比べて、加熱式タバコのベイパー(タバコ葉由来の成分を含む蒸気)では、平均して99%低減されていたと記載されている。

 いずれにしても、加熱式タバコから発生する有害成分は決してゼロではないが、紙巻きタバコの煙中の量よりは、かなり低減されていると言ってよさそうである。