影山貴彦(同志社女子大メディア創造学科教授)

 「これまで社会で人気を誇っていた対象物から、若者が距離を置き始めている。いわば現代社会は『離れの時代』ともいえる」と、数年前から大学の講義のマクラでしゃべることが、定番化しつつある。

 私の専門は放送を中心としたメディア研究、メディアエンターテインメントだ。さしずめ専門ジャンルから「離れ」のキーワードを引っ張れば、「テレビ離れ」となるだろう。

 DeNAトラベル(現エアトリ)が、「あなたが感じる若者の○○離れについて」10代から70代の男女計1184人に、今年2月にインターネット調査を行った結果がある。

 総合順位では、1位・車離れ、2位・新聞離れ、3位・読書離れ、4位・結婚離れ、5位・お酒離れとあり、「テレビ離れ」は6位にランクインしている。ただ、これを年代別に見てみると、20代以下、30代ともに「テレビ離れ」の回答が3位に上昇する(1位と2位は総合順位と同じ)。

 ちなみに40代では、「テレビ離れ」は4位、50代以上ではさらに下のランキングとなる。若者と呼ばれる世代、当の本人たちが「テレビ離れ」をより感じているということになる。

2018年6月、10代のテレビ離れを説明する
インスタグラムのシストロムCEO(共同)
 と、ここまで書くと、「ほら、やっぱり若者のテレビ離れだよ」とか「ネットに食われてるからね」とか「娯楽が多様化してるもんな~」など、もっともらしいオチをつけて話を締めるケースが世間の定番だ。だが私は、本当に「テレビ離れ」が進んでいるかどうかについては、もう少し時間をかけてじっくりと考察する必要があると思う。

 ネット時代といいながら、その中で盛り上がっている話題は、かなりの確率でテレビ・芸能関連のネタであったりする。それに、録画や見逃し配信を加えたいわゆる「総合視聴率」の調査が本格的に始まってから日も浅い。「最近面白い番組がない!」と揶揄(やゆ)されながらも人々の話題を数多く提供しているのは、今もなおテレビではないか、と放送マン出身の私は、いささかひいき目に見てしまうのである。

 とはいえ、テレビが現在右肩上がりのメディアかどうかといえば、全く楽観視できない状況であることは否定できまい。今のテレビに魅力を感じていない若者が増えていることは、真摯(しんし)に受け止めなければならない事実だろう。