テレビの世界で活躍する人たちの高齢化も進んでいる。政治の世界、一般企業などで「世代交代」が叫ばれ始めて随分たつが、今、テレビこそ「世代交代」が必要なときではないだろうか。

 私自身もそうだし、この拙文を読んでくださっている方の多くも、おそらく「中高年層」と推察する。昨日今日この世に出てきたような、稚拙な技術しか備えていない演者たちがたわいもない番組でテレビをにぎわしていることは、少々苦々しいことかもしれない。正直、私も共感するところは多い。

 だが、ここでご同輩のみなさんと少しだけ考えてみたい。メディアが「中高年層」に向けての発信を強めれば強めるほど、若者はそっぽを向くことになってゆくのだ。自分が見たい番組が今のテレビにはない、と、彼らはテレビの前に座ることさえしなくなるだろう。

 何十年も活躍を続けるベテラン芸人たちが、変わらずテレビに君臨することで、今やすっかりおっさんになっている中堅芸人たちが、いつまでも若手扱いをされることになっている。次世代を担う人間が育ちにくい環境は、テレビが先細っていくことに他ならない。私は年を重ねること自体は悪くないと考えるタイプだが、テレビの世界に年寄りがあふれることは、テレビ総体にとって、決して好ましいことではなかろう。

 今、テレビは種をまくときである。種をまかねば芽は出ないし、育つこともなく花を咲かせ実をつけることもない。「テレビはオワコン」だと辛辣(しんらつ)に言う人がいる。果たしてそうだろうか。テレビは、たかだかまだ60年ほどの歴史しか刻んでいない。オワコンと言うには、まだまだ早いのではないか。

 何十年もの間変わらず第一線で活躍している人がテレビにいることは、ある意味称賛すべきことではある。だが作り手たちは、同時に新しい人、新しい番組を生み出す努力をこれまで以上にしなければならない時に来ているのだ。「まだイケる」精神は、ある日突然「もう終わり」の時を迎えることになりかねない。

 新しいものを生み出すために必要なこと、それは「時間」だと思う。近年、新しいものにそっぽを向きがちな私たちだが、作り手、演者、そして私たち視聴者が、時間をかけてテレビを育んでゆくことで、テレビは再び輝きを取り戻せるはずだ。過去にしがみつき過ぎず、これからを育てることに、「中高年層」の私たちも一役買おうではないか。
※写真はイメージです(ゲッティイメージズ)
※写真はイメージです(ゲッティイメージズ)
 新しいものを生み、育てるには、どんなジャンルであれ手間暇がかかるものだ。手っ取り早く享受できるものばかりに飛びつかず、もう一度テレビとしっかり向き合ってみてはどうだろう。若者が活躍する意外な掘り出し物、すなわち隠れた名番組に出合えることがあるかもしれない。今の若者たちはかなり優秀だと、日頃教え子たちと接して実感している。

 テレビが、今も、そしてこれからも「最強のメディア」であってほしいと、私は願っているのである。