鈴木祐司(次世代メディア研究所代表)

 10月クールのドラマが始まったが、初回から「若者のテレビ離れ」を象徴するような視聴率が出た。TBSの火曜夜10時『中学聖日記』が6・0%と、2014年4月に同枠ドラマが始まって以来、最低の数字となってしまった。中学の女性教師と男子中学生を軸にした学園ドラマだが、ここ何年か青春学園ものは視聴率で惨敗している。

 この傾向はすでに10年ほど前から顕在化し始めていた。博報堂DYメディアパートナーズは、06年から「メディア定点調査」を実施している。これによると、当時の1人当たり1日平均のテレビ接触時間は172分あった。ところが12年間で28分短くなった(図1)。
 一方、パソコン、スマホなどネット接続端末の接触時間は、87分から約2・5倍の200分に急増した。実は両者の関係は14年に逆転している。今や10代から高齢者を含めた国民1人当たりのメディア接触は、テレビよりネット接続端末が圧倒しているのである。

 これを性年齢別で見ると、特に若年層のテレビ離れは明確になる。20代男性は、テレビ接触時間は86分で、ネット接続端末は358分を超えている。何と4倍の差がついてしまっている(図2)。
 10代男性でも、両者の差は2・5倍以上。50代までネット接続端末が上回り、60代でようやくテレビが勝る。女性の場合も、10~20代では2倍以上の開きがある。そして40代までネット接続端末が勝り、50代以上でようやくテレビが上回るようになる。若年層で著しいが、40代でもテレビを見ない傾向は強まっている。

 こうした傾向は、当然ながらテレビ視聴者層の高齢化を意味する。今やテレビ視聴者の半分以上が50代以上と、テレビの「おじさん・おばさん化」、あるいは「じじ・ばば化」が進んでいる。その結果、かつて多数あった学校が舞台で学生や教師が主な登場人物となる青春学園ドラマは、明らかに数が減っているのだ(図3)。
 青春学園ドラマはそもそも、60~80年代が黄金期だった。60年代では『青春とはなんだ』『これが青春だ』『でっかい青春』(いずれも日本テレビ)などがあった。70年代には『おれは男だ!』『飛び出せ!青春』『ゆうひが丘の総理大臣』などの日テレ路線の他、『若い!先生』(TBS)、『愛と誠』(テレビ東京)など、他局も放送し始めた。

 そして80年代、『3年B組金八先生』(TBS79~11年)、『スケバン刑事』(フジテレビ85~87年)、『白線流し』(フジ96~05年)、『キッズ・ウォー』(TBS99~03年)など、シリーズ化される話題作が増えた。

 ところが、2010年代になると、流れが変わり始める。一つは『マジすか学園』(テレ東10~12年/日テレ15年~)など、深夜帯での放送が増えた点。もう一つは、夜7~11時の「ゴールデン・プレミア帯」(GP帯)の視聴率が一桁に終わるものが増え、放送本数が減った点だ。

 10代や「1層」(20~35歳)のテレビ視聴者が減り、「3層」(50歳以上)が今や半分以上を占めるだけに、GP帯では視聴率を保つため、ターゲットが中高年になっている。その結果、青春学園ドラマは深夜帯に追いやられるようになったのである。

 そんな状況にあっても、比較的GP帯での放送にこだわっているのがTBSだ。だが、視聴率は芳しくない。寺尾聡が老教師役を演じた『仰げば尊し』(16年夏)こそ視聴率は二桁に乗せたが、14年以降では他11本は全て一桁に終わった。TBSの場合、今回の『中学聖日記』で3クール連続の青春学園ドラマとなるが、視聴率は悪化の一途をたどる。このままではGP帯のテレビは、ますます中高年向けになる恐れがあるが、ドラマはすでにその傾向が進行している。