2018年10月22日 17:13 公開

米政府は、11月6日の中間選挙に介入しようとするロシア政府の活動に関わったとして、ロシア国籍のエレナ・アレクセエフナ・フシャノワ被告(44)を起訴した。司法省が19日に明らかにした。

米中間選挙への介入での起訴は今回が初めて。

調べによると、フシャノワ被告は扇動的なで物議をかもすオンラインに投稿するいわゆる「トロール・ファーム」を運営し、「米国に対する情報戦争」を仕掛けている疑い。

バージニア州東部地区のザカリー・ターウィリガー連邦検事は、「この陰謀の戦略的な目標は、米国の政治体制に不協和音の種をまき、この国の民主主義の諸機関に対する信頼を損ねることにある。現在も続行中だ」と説明した。

罪状は

サンクトペテルブルク在住のフシャノワ被告は、米国に対する詐欺共謀罪で起訴された。

被告は、自ら率いるチームで「プロジェクト・ラクタ」と呼ばれる工作活動を展開し、インターネット上で米国人の意見を分裂させる議論や偽情報を作り出したとされる。

司法省の発表によると、「プロジェクト・ラクタ」はソーシャルメディアなどの場を活用し、移民問題や銃規制・銃の所持権、南部連合旗の是非、人種問題、性的マイノリティーの問題、トランプ氏の大統領就任に反対した「ウィメンズ・マーチ(女性の行進)」、米アメリカンフットボールリーグNFLの選手が人種差別に対抗し国歌演奏時の起立を拒否した問題などについて、論争を作り出していった。

プロジェクト・ラクタの予算は3500万ドル(約40億円)だが、全ての活動が米国を標的としたものではないという。

米当局によると、同プロジェクトの「活動は特定のイデオロギーをひとつだけ推進するのではなく、さまざまな話題について多種多様で、時には正反対の意見を書き込むこともあった」。

「陰謀の加担者たちは、『過激派グループを支持することで政治的緊張』を作り出したり、『少数派と多数派の摩擦を悪化させ』たりするよう指示されていた」

また、米国市民によるものに見せかけた「何千ものソーシャルメディア・アカウントや電子メールアドレス」を作り、米国の政治活動家に見えるよう「極端な手法」を用いていたという。

プロジェクト・ラクタの方針

米高官は、この陰謀の狙いは、米国人同士の対立を煽ることだったと話す。

プロジェクト・ラクタに関わるスタッフには、たとえば以下のような指示が出されていた――。

  • 「故ジョン・マケイン上院議員を、とっくの昔に養護施設に入るべきだった、頭のおかしい偏屈な老人に仕立て上げる」
  • 米下院のポール・ライアン議長(共和党、ウィスコンシン州)を「決断力ゼロの吹けば飛ぶようなどうでもいい人間」の「やかまし屋」と描写する
  • 「ドナルド・トランプを全面的に指示し、今度こそ連邦議会は大統領の言ったとおりに動くべきだという希望を表明する」
  • 「連邦議会が独立戦争前の英植民地政府のような振る舞いを続けるなら、新たな革命が必要だと強調する」

この問題の背景は?

米連邦捜査局(FBI)など複数の米情報機関は昨年末、2016年の米大統領選がドナルド・トランプ氏に有利に働くようロシアが介入したと結論付けた。

複数の情報機関によるこの結論をもとに、司法省はロバート・ムラー元FBI長官を特別検察官に任命。ムラー氏は、米選挙制度に対する外国からの干渉を捜査している。

司法省は19日、ロシアの実業家エフゲニー・ビクトロビッチ・プリゴジン氏と同氏保有の2社がプロジェクト・ラクタに資金を提供したと名指しした。

司法省は今年2月、ムラー検察官の捜査をもとに、コンコルド・マネージメントとコンコルド・ケータリングの2社を含むロシア企業3社とロシア国籍の13人を、2016年大統領選介入の罪で正式起訴している。

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の晩餐会でシェフを務めたことから「プーチンのシェフ」の異名を持つプリゴジン氏は、以前に米国の対ロ制裁の対象となったことがある。

<関連記事>

22日には、ジョン・ボルトン米大統領補佐官(国家安全保障担当)がモスクワでロシアのセルゲイ・ラブロフ外相と会談する予定。

また米国家情報長官は、ロシアや中国、イランが中間選挙に介入しようとしている「現在進行形の活動」を懸念していると警告した。

クリストファー・レイFBI長官は、今回の起訴によって「全てのアメリカ人に、はっきり警告する。外国の敵は引き続き、社会的、政治的分裂を作り出し、政治システムへの不信感をまき散らし、特定の政治家への支持や反対を提唱することで我々の民主主義に介入しようとしている」と述べた。

(英語記事 Russian charged with US election meddling