河本秀介(弁護士) 

 アニメや漫画などのコンテンツ産業にとって、出版社や作者に承諾なくコンテンツを公開し、広告収入などを得る、いわゆる海賊版サイトが大きな問題となっています。

 海賊版サイトの中には、「漫画村」(既に閉鎖)などのように、国内で出版されているコミックの主要タイトルのほぼ全てが無料で読めるようになっているサイトもあります。

 当然ながら、海賊版サイトのアクセス数がいくら増えても権利者には1円も還元されません。また、出版社や作者としては、本来であれば出版や配信によって得られたはずの利益が奪われているため、多大な被害が生じているといえます。

 このような海賊版サイトは実態を掴むのが難しく、既存の手続では差止や損害賠償が困難だとして、プロバイダ側でユーザのアクセスを遮断する、いわゆる「ブロッキング」を実施すべきという議論もされています。

 そんな中、先日、漫画家から委託を受けた弁護士の一人が、米国の訴訟手続を利用することにより、海賊版サイト(おそらく「漫画村」だと思われます)の運営者とみられる人物の氏名や住所などの情報を取得することに成功したことを発表しました。

 この弁護士はどのような方法でサイト運営者を特定したのでしょうか。また、これにより海賊版サイトに対するブロッキングの議論はどうなるのでしょうか。
※画像はイメージです(GettyImages)
※画像はイメージです(GettyImages)
 出版社や作者といった著作権者に無断で漫画などの著作物をインターネット上にアップロードし、利用者に閲覧させることは、著作権を侵害する行為です。

 このような違法アップロードに対しては著作権法に基づく刑事罰が科せられる可能性があります。また、出版社や作者は、違法アップロードによって不当に利益が奪われていることになりますので、著作物を違法アップロードした者に対して、本来得られたはずの利益を損害賠償請求することが考えられます。

 もっとも、損害賠償請求などを行うためには、まずは著作物を違法にアップロードした者(加害者)がどこの誰かなのかを突き止める必要があります。インターネットには匿名性がありますので、通常は容易ではありません。