次に漫画村の被害額3千億円の根拠がデタラメであるという指摘についてはどうでしょうか。反対派の主張は大きく2つあります。一つは、漫画村による出版社の逸失利益は3千億円ではなく、実際は数十億円程度という別の試算があるということ。もう一つは、3千億円の根拠として使用した、アクセス数の推定に使っている「SimilarWeb」というツールは信頼性に疑義があり、使うべきではないという多数の指摘が海外でもある、というものでした。

 これについては主に私が反論したのですが、著作権侵害による直接の被害額と実際の売り上げが減ったという意味での被害額は異なるのが当たり前です。もともと有料のものが無料で手に入るなら、誰だってダウンロードするでしょう。その場合の被害額を「違法ダウンロードされた件数×1本あたりの価格」にするのは自然なことであり、より深刻なケースでは本来、売れていた数字を上回ることがあるのは当然です。これは、それほどまでに海賊版サイトの被害が甚大だったということの証でもあるのです。

 実際、この計算方法は、著作権侵害などの被害額として算出する場合に、一般的に使われているものです。また、著作権法にもほぼ同等の計算方法が書かれていることが、林いずみ委員(弁護士)からも説明がありました。

 もうひとつの主張であるSimilarWebの数値が信用できないという意見書は、第8回検討会議で立石聡明委員(日本インターネットプロバイダー協会副会長)が提出しています。それに対して、私は第9回検討会議で反論の意見書を出しました。立石委員の資料で引用されているURLの資料をきちんと読むと、ほぼすべての資料において立石委員の主張とは逆のことが書かれており、逆に立石委員の引用した資料が正しかった場合、SimilarWebの数値の信頼性は「ある」という結論になってしまうのです。

 つまり、「3千億円の数字がデタラメだ」という理屈を持って、反対派の皆さんが検討会内外で論陣を張っていたわけですが、実際には反対派の主張にこそ根拠がなく、まったくのデタラメだったのです。
※画像は本文と関係ありません(GettyImages)
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 「SimilarWebの数値がおかしいという意見書はデタラメであった」「アクセス数と単価をかけた計算方法は、著作権侵害においては一般的なものである」。この2点を突きつけられても、なおも森委員は「国民の感覚とズレる数値を出して誤解されるのはダメだ」との主張を展開しました。しかし、そういう心配があるのであれば、この数値の計算手法と意味についてきちんと説明すればいいだけの話であり、正しい被害額ではないということも明記すれば済む話です。少なくとも「3千億円は国民を欺くような数字であり、立法事実がない」とまで強弁するのは明らかに間違った態度だと思います。