2018年10月25日 11:12 公開

米シークレットサービスと連邦捜査局(FBI)は24日、ヒラリー・クリントン氏やバラク・オバマ氏など複数の民主党要人にあてて爆発物と見られる小包が送られたと発表した。そのうちのひとつはニューヨークのCNN支局気付で届けられたため、CNNの入るタイムワーナー・ビルでは同日朝、ニュース放送中に全員が避難した。一方でドナルド・トランプ米大統領は、犯人逮捕を約束すると共に、マスコミの敵対的報道を非難した。

シークレットサービスは24日朝、23日夜にニューヨーク郊外のクリントン夫妻宅へ、24日早朝にはワシントンのオバマ氏の自宅に、それぞれ爆発物とみられるものが送りつけられ、途中で回収したと発表した。世界的投資家でリベラル派の篤志家、ジョージ・ソロス氏のニューヨーク郊外の自宅郵便受けで22日に発見されたパイプ爆弾と、同型のものという。

FBIによると、パイプ爆弾のような爆発物は、ヒラリー・クリントン氏、バラク・オバマ氏、CNN気付でジョン・ブレナン元中央情報局(CIA)長官、エリック・ホルダー元司法長官、ジョージ・ソロス氏に送りつけられた。いずれも爆発はしなかった。

爆発物はいずれも似たような作りで、ビニールの気泡緩衝材でくるまれ、茶封筒に入れられていた。宛名はコンピューターで印字したシールで、民主党全国委員会のデビー・ワッサーマン・シュルツ元委員長が送り主と書かれていたが、名前のつづりが間違っていた。

ニューヨーク市警のジェイムズ・オニール本部長は、CNNに送られた小包に同封されていた「白い粉の入った封筒」を分析していると明らかにした。

米報道によると、ブレナン元長官は24日にCNNに出演予定だったため、小包はCNN気付で送られたもよう。

ワッサーマン・シュルツ下院議員(フロリダ州選出)は声明で、自分の名前がこのように使われたことに「非常に動揺している」と述べた。

米報道によると、ホルダー元長官あての包みは宛先が間違っていたため、フロリダ州サンライズにあるワッサーマン・シュルツ下院議員の事務所に送り返された。

さらに、民主党のマクシーン・ウォーターズ下院議員(カリフォルニア州選出)あてに不審な小包が届いたため、地元警察とFBIが捜査している。

24日にフロリダ州で開かれた民主党の選挙応援集会に出席したクリントン氏は、シークレットサービスに感謝し、自分も家族も「無事です」と述べた。

「心配な時代だ。深い分裂の時代で、この国をひとつにまとめるため、できることを何でもやらなくては。さらに、そのために努力してくれる候補を当選させなくては」とクリントン氏は強調した。

オバマ氏の広報担当は取材に対してコメントせず、シークレットサービスの発表を参照してほしいとだけ述べた。

トランプ氏は暴力とマスコミを非難

トランプ大統領は同日夜、ウィスコンシン州で開いた支援者集会で、犯人逮捕を約束すると共に、マスコミに対して「果てしない敵対をやめろ」と呼びかけた。

「政治議論に参加している人間は、政敵を道徳的に劣っているかのように扱うのをやめなくてはならない」、「政敵を歴史的悪人になぞらえる発言がしょっちゅうあるが、そんなことを軽々しくやってはならない」などと、トランプ氏は述べた。

これに先立ち同日午後にはホワイトハウスで、米国にはこのような脅迫の「居場所はない」と述べた。

「米国民の安全が私の一番の、そして絶対的な優先課題だ」と大統領は述べ、「このようなときに、我々はひたすら団結しなくては。ひとつにまとまり、政治的脅しや行為はいかなるものでもアメリカにあってはならないと、ひとつの明確で間違いようのないメッセージを発しなくてはならない」と強調した。

その一方で、爆発物が今回送りつけられた人たちはいずれも、トランプ氏を筆頭に、保守系政治家や論客に激しく攻撃されてきた。

民主党の中には、トランプ氏自身が政敵に対する暴力を扇動してきた結果だと非難する声がある。一方で、トランプ氏の支持者の間には、爆発物の送付は11月6日の中間選挙を前にした民主党の工作だという説も飛び交っている。このような主張を裏づける証拠はなく、捜査当局は容疑者情報を一切明らかにしていない。

ホワイトハウスのサラ・サンダース報道官は、著名人への「暴力的な攻撃未遂」を非難し、さらにツイッターでCNNへの脅迫を非難した。

しかし、CNNワールドワイドのジェフ・ザッカー社長は声明で、「ホワイトハウスは、自分たちが続けるメディア攻撃がいかに深刻なものか、まったく完全に理解できていない。大統領と、とりわけホワイトハウス報道官は、自分たちの発言の影響力を理解すべきだ。それが分かっている様子は今のところまったく示していない」と反発した。

トランプ大統領は繰り返しジャーナリスト、特にCNNを、「フェイクニュース」や「国民の敵」と呼んできた。今月半ばには支援者集会で、記者を「ボディースラム」で暴行した共和党下院議員を称賛していた。

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民主党幹部のナンシー・ペロシ下院院内総務とチャック・シューマー上院院内総務は共同声明で、大統領の最新の発言は「暴力行為を支持するこれまでの発言を訂正しない限り、何をいっても空疎に聞こえる」と非難した。

ニューヨークのビル・デブラシオ市長は、爆発物の送付について「この国の報道の自由と指導者たちを脅かし、暴力によって損なおうとする」テロ行為だと非難した。

デブラシオ市長は記者会見で、「すべての公職者、すべての政党関係者に申し上げる。暴力を奨励しないように。憎しみを奨励しないように。マスコミへの攻撃を奨励しないように。意見は違っても構わないが、礼儀は必要だ」と強調した。

(英語記事 'Explosives' sent to Democrats and CNN were 'act of terror', says NYC mayor