千代松大耕(泉佐野市長)

 ふるさと納税は、いま大きな岐路に立っています。ふるさと納税の返礼品について、総務省が規制を強め、これに対する自治体が困惑している様子が、いろいろな報道で伝えられています。

 泉佐野市が昨年度の寄付金受け入れ額で全国1位となったこともあり、多くの取材や問い合わせをいただき、ふるさと納税はマスメディアや国民の関心がとても高い問題であることを、私自身改めて痛感しました。そこで、泉佐野市として、この問題に対する見解や考えをきちんとお伝えすることが必要との思いから、9月28日、東京で八島弘之副市長が記者会見をさせていただきました。

 この中で、泉佐野市は、まず総務省の姿勢に疑問を投げかけました。これまで数回にわたって、返礼品に関して総務省からの通知は届いていますし、私あてに総務省から何度か直接連絡を頂戴しています。

 しかし、例えば返礼品の調達率は3割までとされたことについても、なぜ3割なのかといった明確な根拠を示されたことはなく、また、なぜ地場産品に限定するのかなどについても、何ひとつ直接説明されていません。総務省が一方的な条件を押しつけているだけで、総務省はふるさと納税を縮小させたいのではないかと思ってしまいます。

 「返礼品の調達率」については、本来は制度を運用する各自治体の判断に委ねられるべきものとは思いますが、しっかりとした根拠があり、全ての自治体が公平に順守するルールとするならば、「3割以内」とすることに泉佐野市も賛同します。

 ですが、「地場産品」については、総務省の意見をそのまま聞くことはできません。例えば、現実問題として、「肉」「カニ」「米」はふるさと納税の返礼品では特に人気が高いものです。こうした恵まれた「地場産品」を持つ自治体に寄付金が集中してしまうことは、容易に想像できます。人気のある特産品を持たない自治体への配慮や、各自治体で創意工夫ができるような余地を残すことの意義なども含めて、しっかりと論議すべきではないでしょうか。

 もちろん泉佐野市としても、一定のルールや基準を設けること自体には賛成します。ですが、そのルールや基準は、総務省が独断で決めるものではなく、自治体、有識者、国民世論などを含めて、幅広く議論を行い、大多数が納得できるものをつくるべきではないでしょうか。
泉佐野市の千代松大耕市長
泉佐野市の千代松大耕市長
 泉佐野市は、過去に財政破綻寸前の「財政健全化団体」に指定されるほど危機的状況に陥っていました。その後、財政健全化計画を策定し、人件費の抑制、遊休財産の処分、公共施設の統廃合など、徹底した緊縮財政に取り組みました。

 一時は、市の名称さえもネーミングライツの対象にしたほどで、このことが多くのマスメディアに取り上げられ、市の知名度は向上しましたが、このようななりふり構わない状況となり、もうこれ以上何も出ない、乾いた雑巾(ぞうきん)を絞り尽くした感もありました。

 私は、後ろ向きな施策を続けているだけでは泉佐野市は疲弊してしまうと考え、歳入を増やすための攻めの改革の一つとして、2008年から導入していたふるさと納税の取り組みを、12年から積極的なものとしてきました。

 以降、年々返礼品を増やし、14年には関西国際空港を拠点とする日本初の格安航空会社(LCC)の「ピーチ・アビエーション」の航空券購入に利用できる「ピーチポイント」を返礼品にしたことで、全国的に泉佐野市のふるさと納税が認知されました。