規制を強化する総務省の姿勢は、ふるさと納税に取り組む自治体が自らの頭で考える機会やモチベーションを奪い、魅力的な返礼品が失われることで国民の関心を低下させ、ここまで広まったふるさと納税制度を縮小させる結果につながってしまうのではないでしょうか。

 ふるさと納税の議論で、よく「本来の趣旨に立ち返れ」というフレーズが出てきます。総務省の「ふるさと納税ポータルサイト」に「よくわかる!ふるさと納税」というページがあり、そこには「そもそも何のためにつくられた制度なの?」というFAQ(よくある質問と回答)が示されています。

 そこで示されているのは、ふるさと納税制度はもともと都市圏に偏りがちな税収を、自分のふるさとなどの地方に振り分けることを目的にして創設されたということです。つまり、自治体間の税収格差縮小こそが「本来の趣旨」である、と私は理解しています。

 都市圏自治体の税収が減少して困窮しているという報道も見られましたが、そうなることを目的としているのですから、その意味ではふるさと納税は「本来の趣旨」に沿って機能しているととらえることもできます。

 とはいえ、ふるさと納税制度が始まって10年近くたち、制度のひずみやゆがみが目立ち始めたこともまた事実でしょう。都市圏を含む自治体、総務省以外の諸官庁、有識者などの意見や知見を広く求め、制度設計自体を見直す時期なのかもしれません。

 泉佐野市としては、ふるさと納税の制度は、都市圏自治体と地方自治体との格差縮小、地方自治体の活性化に貢献し、国民が自発的に税金の納付や使い方に携わることができる機会にもなっており、大変意義のあるすばらしい制度であると理解しています。
ふるさと納税の返礼品についての考えを記者会見で発表する大阪府泉佐野市の八島弘之副市長(右)ら=2018年9月、東京都中央区(大坪玲央撮影)
ふるさと納税の返礼品についての考えを記者会見で発表する大阪府泉佐野市の八島弘之副市長(右)ら=2018年9月、東京都中央区(大坪玲央撮影)
 大きな岐路に立った現在、総務省の姿勢が、ふるさと納税自体を縮小させてしまうように感じます。

 返礼品に頼らない寄付文化を醸成していく、返礼の形をモノではなくコトにシフトしていくなど、自治体や有識者の皆さんがいろいろな考えや主張もされていることは承知していますし、私もうなずける点は多々あります。しかし、財政が逼迫(ひっぱく)している自治体にとって、あまり悠長に試行錯誤をしていることもできません。

 国や総務省には、ふるさと納税に関する幅広い議論の場を設けていただけるよう望みますし、泉佐野市としては、総務省の姿勢に困惑されている他の地方自治体との連携など、よりよいふるさと納税制度の在り方を模索していきたいと考えています。