2018年10月31日 17:15 公開

米ペンシルベニア州ピッツバーグのユダヤ教礼拝所(シナゴーグ)で起きた乱射事件の犠牲者追悼に、マイク・ペンス副大統領がユダヤ教徒主流派に非難されている聖職者を呼んだとして、反発を招いている。

30日にミシガン州で開かれたペンス副大統領出席の共和党支持者集会で、シナゴーグで犠牲になったユダヤ教徒11人を追悼するにあたり、イエス・キリストを救世主と認めるユダヤ教非主流派「メシアニック・ジュダイズム」のラバイ(米国におけるユダヤ教指導者)が登壇した。このローレン・ジェイコブス師は、憎悪による乱射事件を非難しながら、犠牲になった人たちの名前を読み上げなかったことも批判されている。

ペンス副大統領側近はAP通信に、ミシガン州の集会にジェイコブス師を招いたのは副大統領ではないと説明した。

共和党候補としてミシガン州から下院に出馬しているリーナ・エプスタイン氏が後に、集会にジェイコブス師を呼んだのは自分だと発表した。エプスタイン氏は自分もユダヤ教徒で、ジェイコブス師の登壇を批判する人たちが「無用な分断を作り出そうとしている」と反論した。

しかし、多くのユダヤ教徒はジェイコブス師の出席を、死者に無礼だと反発している。

ユダヤ教主流派の間では、イエス・キリストを救世主として認めるジェイコブス師が信仰するのはユダヤ教ではなく、福音主義キリスト教の一種だと見られている。

ソーシャルメディアでは大勢が、「ユダヤの歴史と主体性を抹消」しようとするものだと批判し、死者を侮辱する行為だと批判した。ジェイコブス師が壇上で犠牲者の名前を口にせず、代わりに中間選挙に出馬している共和党候補の名前を列挙したことを批判する人もいる。

米国のリベラル系論説誌「ニュー・リパブリック」のイェート・ヘール記者は、「米本土で史上最悪のユダヤ人虐殺から2日後、副大統領が一緒に登場したのは、ユダヤ人に向かって伝道してキリスト教に改宗させることが主目的の団体だ」とツイートした。

https://twitter.com/HeerJeet/status/1057008701968711680


ヘール記者は、ジェイコスブ師が集会でペンス氏の前に祈りを捧げ、「救世主のイエス」と口にするビデオのツイートにコメントしながら、ツイートした。

別の人は同様にビデオをコメントする形で、「『メシアニック・ジュダイズム』は反ユダヤ教だ。ユダヤ人は救われるべきだという、めくらましの伝道で、キリスト教徒がユダヤ教の儀式の真似事をする。この一派の人間を招いて公に発言させるなど、あってはならない。ペンスは謝罪するべきだし、問題だと思っていないなら、ペンスは紛れもなく反ユダヤだ」とツイートした。

https://twitter.com/steveniweiss/status/1057053697488945153


乱射事件のあったピッツバーグでは30日、ドナルド・トランプ大統領がシナゴーグを追悼のため訪れた。しかし、ビル・ペドゥート市長(民主党)やユダヤ教コミュニティの中心的人物たちは大統領の訪問に反対した。

大統領が「白人国家主義を完全に否定・非難しない限り」、ピッツバーグに「歓迎しない」という内容のユダヤ教指導者たちによる公開書簡には、7万以上が署名した。

連邦議会上下両院の共和党と民主党の院内総務は、ピッツバーグへ大統領と同行するようホワイトハウスに招待されたが、4人とも辞退した。

ホワイトハウスは、乱射事件に対する大統領の責任を一切否定している。

(英語記事 Pittsburgh shooting: Anger at Pence rally 'Jesus prayer'