2018年11月01日 12:01 公開

トルコ政府は10月31日、在イスタンブールのサウジアラビア総領事館で殺害されたジャマル・カショジ記者(59)の死の詳細について、館内に入った直後に絞殺されたと初めて公表した。裏づけとなる証拠は提示していない。

トルコ政府は声明で、「事前の計画に沿って、被害者のジャマル・カショジはサウジアラビア総領事館に入った直後に、ただちに絞殺された」と発表した。遺体はその後、「またしても計画に沿って」解体され処分されたという。

カショジ記者が10月2日に総領事館に入ったのを最後に消息を絶って以来、トルコ・メディアは死亡の詳細についてリーク情報をもとに報道を重ねてきたが、トルコ政府が公式に発表するのは初めて。

トルコのイルファン・フィダン検事総長は、サウジアラビアの検事総長と会談したものの、「具体的な結果につながらなかった」と述べた。

サウジアラビア側は、検察トップ同士の会談についてコメントしていない。

トルコ政府によると、サウジアラビアのシェイク・サウド・アル・モジェブ司法長官は今週イスタンブールを訪れ、フィダン検事総長と2度会談し、総領事館でサウジ情報関係者と話をした後、31日に帰国した。公式声明は発表しなかった。

トルコ政府は、モジェブ長官に3点、質問したと明らかにした。

  • カショジ記者の遺体はどこか
  • 殺人計画について新情報はあるか
  • 「地元協力者」は誰か

トルコによると、総領事館は31日、質問への答えは合同捜査を行わなければ得られないと書面で回答した。「地元協力者」については、サウジ政府として公式に発言したことはないという答えだった。

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殺害方法と遺体の場所

サウジアラビア出身のカショジ記者は、かつては政府顧問を務めるなどサウジアラビア政府と近かったが、ムハンマド皇太子が圧倒的権限を振るう政府に対する批判を重ね、自ら国を離れて米国を拠点に米紙ワシントン・ポストなどで記者活動を続けていた。

トルコ人婚約者との結婚に必要な書類手続きのため、イスタンブールの総領事館に入ったのを最後に、館内で殺害されたとサウジアラビア政府も10月下旬になってやっと認めた。しかし、殺害方法や遺体の場所は特定されていない。

ロイター通信は以前、匿名のサウジ当局者の話として、記者の遺体はじゅうたんにくるんで「地元協力者」に渡し、この人物が遺棄したと伝えていた。トルコ・メディアはこれとは別に、記者が拷問され、遺体は解体されたと伝えていた。

また、トルコ・メディアは匿名の政府筋の話として、トルコ当局は殺害の様子の録画・録音証拠を得ていると伝えてきたが、トルコ政府はこれを認めていない。一方で、トルコ紙サバハや米紙ワシントン・ポスト、ロイター通信などは24日、ジーナ・ハスペル米中央情報局(CIA)長官が、トルコ当局が入手した殺害状況の音声を聞いて確認したと伝えた。ハスペル長官は22日、イスタンブールを訪れた。

トルコはサウジを非難せず

トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は23日に国会で、「残酷」な殺害は何日も前から計画されていたと批判したが、サウジ政府の責任、特にムハンマド皇太子の責任や関与を公の場で強く追及することは避けた。

一方で、与党・公正発展党の広報担当幹部は31日、サウジ高官の命令がなければこのような計画の実施はありえなかったと述べた。

サウジアラビアは、王家の関与を否定している。

エルドアン大統領は10月下旬にサウジのサルマン国王と電話で会談し、捜査協力の継続で合意した。

(英語記事 Khashoggi murder: Turkey gives official details of Saudi writer's death