藤井靖(明星大心理学部准教授、臨床心理士)

 9月6日、女優の長谷川京子さんの写真共有アプリ「インスタグラム」が炎上した。内容は、友人の誕生日を祝う食事会の写真だったが、これが同日未明に発生した北海道胆振東部地震直後の投稿であり、被災した方々が大変な時に「不謹慎」「不適切」とされたのだ。

 翌9月7日、長谷川さんは「写真のものは随分前に撮影したもので、ここ数日行われたものではありません」と釈明しながらも、「北海道では大きな災害があり、労りの言葉なく、空気の読めないものをあげてしまったこと、現地で大変な思いをされている方に失礼な事をしてしまいました。申し訳ありませんでした。これからは今まで以上に、このような事が起きないよう注意していきます」と謝罪し、当該の投稿を削除した。

 今や、大きな自然災害や事件・事故が起こるたびに、有名人のソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)が炎上するのがもはや恒例となっている。熊本地震の際だけでも、藤原紀香さん、上地雄輔さん、紗栄子さん、みのもんたさん、西内まりやさん、長澤まさみさん、川谷絵音さん、その他政治家やテレビ番組まで、その発信に対して批判の渦が巻き起こった。

 7月の西日本豪雨の際も、山田優さんが自撮り写真とともに「梅雨も明けた? ので夏の必需品~!」として愛用している紫外線(UV)対策用のスプレーを紹介し、「無神経」と批判を浴びた。

 もちろん、炎上の陰には同意や賞賛のコメントも少なからずあり、「謝罪する必要はない」「アンチがコメントしているだけ」と擁護する声も多い。しかし、批判された有名人のほとんどは、弁明したり謝罪する事態に追い込まれている。

 ソーシャル・ジャスティス・ウォリアー(SJW)という概念がある。直訳すると「社会正義の戦士」だが、差別や不祥事、悪行などに対して、ブログやネット掲示板、SNSなどインターネット上で激しく戦う人々のことを指す。「不謹慎狩り」もほぼ同義であるといってよい。
女優の長谷川京子
女優の長谷川京子さん
 元々は2009年ごろから、皮肉や当てこすりを込めた蔑称(べっしょう)として使用されてきたインターネット上の俗語(ネットスラング)だが、2015年には英オックスフォード大出版局の英語辞典に新しい単語として採用された。

 編集者の箕輪厚介氏は、9月10日放送のTOKYO MX『ばらいろダンディ』の中で、「ソーシャル・ジャスティス・ウォリアーはめちゃくちゃ害悪だと思ってます」「一番大事なのは相手にしないことですよ。できるだけ『こいつらクズだな』って言い続けることが大事だと思います」と持論を展開、猛批判して注目を浴びた。