二つ目は「実名でSNSを書く」ことである。主に使用するアカウント(利用権限)の他に二つ目のアカウントを実名で持ったり、実名でコメントを書くことを想像するのでもよい。

 匿名だったものを実名にすることは、SNSが現実の人間関係や社会生活により近くなるということでもある。自分の価値観に沿わない、気に食わないからといって、街中や会社や学校で、自分の不満を言語化してわめき散らしたり、批判を繰り返している人はいるだろうか。

 また実名にすることは、攻撃だけでなく、防御、つまり自分を守ることを考えなければいけなくなる。匿名のときは攻撃して自分のスッキリ感を追求しているだけでよいが、実名にすると発信者としての存在が明確になる分、自分の言動が逆に批判にさらされることを否が応でも意識させられることになる。それだけで、他者への攻撃的・批判的発信が抑制的になるだろう。

 三つ目は「コメントを下書きして、数時間を置いて送信か不送信かを再判断する」ことである。

 2014年にベルギーのルーベンカトリック大のフィリップ・バーダイン教授ととサスキア・ラブリセン教授が行った研究によると、一時的な感情の持続時間は意外と短い。例えば「嫌悪」は30分、「屈辱」は0・8時間、「苛立ち」は1・3時間、「怒り」は2時間、「ストレス」は3時間、関連するもので一番長い「妬み」でも15時間しか続かない、とされている。

 日常的に関係を持たない間柄である有名人からの投稿を通じた一回の刺激は、一時的な感情しか生起しえない。そのため、数時間を置くことで、ほとんどの批判的コメントの源泉は心理的には消失するであろう。
※写真はイメージです(ゲッティイメージズ)
※写真はイメージです(ゲッティ・イメージズ)
 日々に追われているわれわれは、自分の感情が伴わない投稿を機械的に行うほど暇ではない。時間が経つことで、下書きしたこと自体も忘れてしまう可能性さえあるだろう。

 もちろん、事の本質を突く、真の社会正義に基づく言動も中には含まれているかもしれない。一時的な感情によらない言説は、もちろん適切に示されるべきことは言うまでもない。