舛添要一(前東京都知事)

 11月6日に投票が行われた米中間選挙は、事前の予想通り、上院(全100議席)は共和党が多数派を維持し、下院(全435議席)は民主党が多数派を奪還した。

 この結果、議会は「ねじれ」状態となり、今後のトランプ大統領の政権運営が思い通りに行かない可能性が強まった。選挙結果の詳細な分析は、すべてのデータがそろった後になるが、今の段階で説明できる点を以下に記してみたい。

 まずは、期日前投票の出足を見ても、今回は中間選挙にしては極めて高い投票率であり、それだけ熱気に包まれていたと言ってよい。トランプ政治は米国社会を二極化、分断させ、それが有権者の政治的関心を高めたものと思われる。

 選挙の争点としては、経済と社会保障、とりわけ医療保険が突出していた。経済については、トランプ政権は極めて有利な状況にあったと言ってよい。

 米経済は絶好調で、失業率も2000年以降初めて4%を切っており、これがラストベルト(さび付いた工業地帯)の白人労働者らの強固な支持につながったのである。「米国第一主義」を掲げ、外国産品に高関税を課す保護主義も称賛されたし、低賃金で働くことで米国人の職を奪う不法移民を、国境に壁を築いて締め出すという政策も評価された。

 その点では、ホンジュラスなど中米諸国から数千人の規模の「キャラバン」と呼ばれる移民たちが、米国を目指して北上していることは、トランプ氏にとって神風が吹いたようなものである。1万5千人の米軍兵士をメキシコ国境に派遣するという大統領の指令は反移民感情に強く訴えた。最近、正式に移民として認められたヒスパニック系なども、自らの既得権益を守るためにトランプ氏支持に回ったようである。
2018年11月5日、米国を目指してメキシコ南部の道を歩く移民集団(ロイター=共同)
2018年11月5日、米国を目指してメキシコ南部の道を歩く移民集団(ロイター=共同)
 そのことを象徴的に示しているのが、メキシコと国境を接するテキサス州の上院議員選挙である。共和党現職のクルーズ議員は、2年前の大統領選挙の指名争いではトランプ氏と激しく対立し、罵倒し合ったが、今回は大統領に応援を依頼するほど苦戦を強いられた。

 相手の民主党のオローク候補は「オバマの再来」と言われるほどカリスマ性がある候補だったが、接戦の末、クルーズ議員が51%対49%という僅差で勝っている。北上する難民キャラバンがテキサス州民の恐怖心を煽り、共和党に勝利をもたらしたと言っても過言ではない。