NHKエンタープライズの闇


 ところが、実態は建前とは全く違う。NHKは非営利で、その利益を蓄えることは出来ない。だから、完全な営利事業目的の子会社を作り、そこに利益を蓄積し、職員やOBなどを送り込み、それを自分たちだけの貯金箱にしている。その中核となるのが「NHKエンタープライズ」という会社である。

 NHKエンタープライズの第二四期決算報告書によれば、売上の半分以上は、番組の制作費であり、それに次いでソフト販売、イベントやソフト制作が並ぶ。さらにキャラクターや版権ビジネスも売上の一割以上を占めており、完全な営利企業であることがわかる(表1)。

 NHKは放送局である。当然、自前の放送設備やスタジオ番組制作設備が存在する。何故、自前の制作設備やスタッフがいるのに、わざわざ営利目的の子会社に委託するのであろうか? NHKエンタープライズの売上の54%は番組制作だが、そのほとんどはNHK向けのものだ。後述するが、その構造上、制作費に対する正当性や妥当性が十分にチェックされているとは思えない。現在、民間の番組制作会社は、発注元となる民放キー局の広告収入減少により、制作費の大幅削減を要求され、ほとんどがかろうじて黒字又は赤字という情況になっている。このような中で安定した利益を出し続けられる構造がおかしいのである。

 また、ソフト販売やキャラクター事業、権利ビジネスにも大きな闇が隠れている。そもそも、元になる映像ソフトやキャラクター、権利は受信料により生み出されたものであり、NHKエンタープライズ自身は全くリスクをとっていない。「税金同様に集めた視聴者の金を使って商品を作り、それを二次利用して私物化している」といえる。これは甚だしい民業圧迫でもある。多くの民間企業は、自分の金を使って商品を作り、販売している。こんなビジネスモデルが許されてよいわけがない。また、権利ビジネスにおいて、韓国から韓流ドラマを輸入し、NHKに販売するとともにその版権ビジネスも行っている。ドキュメンタリーならばまだわかるが、何故韓国からドラマを輸入し、NHKで流す必要があるのか。

 民放でも同様の問題を抱えているが、自社の保有するキャラクターを公共物である電波で流し、それを利用して版権ビジネスを行うのは各種法令にも関わる問題となる。そもそも電波は、限りある国民の共有財産で、電波利用者はその利用に際し料金を支払っている。実はTVなどが支払うこの利用料は携帯電話会社などの10分の1に過ぎない。これは放送の公共性が認められているためだ。表ではNHKの支払いが巨額に見えるが(表2)、これは衛星放送などチャンネル数が多く、全国を網羅しているためで、特段に負担割合が大きいわけではない。

 公共性を理由に安価に提供されている電波を利用し、商品となる版権やキャラクターを宣伝し、独占的な立場で二次使用ビジネスを行って良いわけもなく、独禁法等にも大きく関わる問題であるといえる。これはNHKの番組に連動し、そのテキストを販売しているNHK出版も同様だ。NHK出版は、放送に合わせた材料のインターネット販売までも手がけている。これは明らかな独占的立場の濫用であると思われる。

 国民の財産である電波をカクヤスに利用し、視聴者から強制的に得た金で番組を作り、番組内で商品の宣伝をし、その商品を独占的に自社で販売し儲ける。これが許されている現状が問題なのである。

従業員の構成と資本構造

 NHKエンタープライズの従業員の構成を見てみよう。表3の通り、男性従業員の3分の1以上がNHKからの出向者などであり、平均年齢も高い。個別データは公表されていないが、経営に関わる部分や番組制作など中核的部分のほとんどをNHK職員が担っている。この状況では制作費の妥当性や透明性など求められるわけがない。公共放送の独立制を謳うのであれば、非営利団体であるNHK自らが番組制作や版権管理を行えば良いのだ。

次にNHKエンタープライズの資本構造を見てみよう(表4)。 NHKとその関連企業で97%以上の株式を保有しており、子会社であることがわかる。これでは民間企業としての正常な株主によるチェックが行われるわけもない。何故か銀行二社がわずかな株式を保有しているが。この理由もよくわからない。

 NHKは税法上の公共法人であるため、法人税(国税)が免税されている。法人地方税に関しても課されているのは均等割のみだ。わざわざ、免税を受けられる公共法人が税金の支払い義務がある株式会社を保有する意味がわからない。NHKは、営利事業部分を独立させていると言い訳するかもしれないが、それでは公共放送としての独立性・非営利性に大きな問題が生じる。また、株主たる銀行は純然たる営利追求の民間企業であり、株主に対する報道に対する疑問が生じるものともなる。