舛添要一(前東京都知事)

 最近のメディアの世論調査を見ると、若い世代ほど「親安倍政権」であり、高齢者は「反安倍傾向」である。なぜそうなのか。

 私は1948年生まれの「団塊の世代」に属するが、私たちが若いころには、自民党政権支持など、ありえなかった事態である。若者はラジカル(急進的)で、時の政権を批判し、齢(よわい)を重ねるほど保守的になって政権支持になるというのが常態であった。

 私は1967年に東大に入学したが、当時はベトナム反戦、日米安保反対といった学生運動が盛んであり、68年には学園紛争が全国に拡大していった。学生や知識人、ジャーナリスト、評論家の圧倒的多数は、そのような学生運動に共感を抱く「進歩的文化人」であった。

 当時は、大学のキャンパスでは、私が専門とする戦争や安全保障の研究ができる雰囲気ではなく、フランス留学から帰国したときには途方に暮れたものである。戦争を研究し、戦争の原因を究明することが人類にとって役に立つのに、「戦争研究」なら認めない、でも「平和研究」なら認める、という摩訶(まか)不思議な論理が貫徹していたのである。

 笑止千万であるが、その空気を若いころに吸ったのが今のシルバー世代である。その空気の背景にはさまざまな要因がある。

 第一は、わずかな時期を除いて、第2次大戦後は自民党が政権を維持してきたことである。イスラエルの労働党、スウェーデンの社会民主党などとともに、このような長期政権を「一党優位制(one party dominance)」と名づけ、私も含め政治学者たちは研究を進めた。
2018年9月、安全保障関連法成立から3年、抗議集会後、東京都千代田区内をデモ行進する参加者
2018年9月、安全保障関連法成立から3年、抗議集会後、東京都千代田区内をデモ行進する参加者
 「政権イコール自民党」であって、外交や経済や社会に問題があれば、それは政権、つまり自民党に問題があるという結論以外にはなかったのである。

 第二は、戦後の東西冷戦である。単純化すれば、自民党は米国主導の自由主義陣営、社会党はソ連が支配する社会主義陣営と色分けでき、日米安保や自衛隊に反対するのが「革新」、賛成するのが「保守」という区分けになっていた。