団塊の世代にとっては、自民党政権は岩盤のように強固で、何度挑戦しても倒せなかった。ところが、2009年夏の総選挙では、ついに「選挙で権力を倒す」ということが可能となりそうになり、がぜん元気づいたのである。

 選挙となった瞬間に、大臣の私は敗北を覚悟したし、麻生首相が解散のタイミングを間違えたと残念に思ったものである。仲間の選挙応援のために全国を回りながら、敗北が避けられず下野することは確実だという認識を強めていった。

 政権に就いた民主党は、鳩山由紀夫、菅直人、野田佳彦と3人の内閣総理大臣を輩出したものの、大きな改革もできず、東日本大震災・原発事故も起こり、失敗のうちに2012年12月に終わった。成果を上げる前にわずか3年で潰えてしまった民主党政権は、団塊の世代にとっては、批判をしようにも、余りにも短期政権過ぎたのである。

 自民党が政権に復帰し、安倍長期政権が盤石なものとなるにつれて、野党は分裂し、非力なものとなっていく。もはや選挙による政権交代は夢物語となり、団塊の世代は、若い頃のベトナム反戦デモのように、直接街頭に出たり、市民運動に参加したりしながら、政治への不満を発散していく。定年退職後で時間も十分にある。

 民主党政権の失敗は、選挙によって国を変革するという可能性を摘んでしまったと言ってもよい。自民党の一党支配が再開されたのであり、それはまた長く続くと思われている。

 もともと、反政府的、反権力的なDNAを持つ団塊の世代は、安倍長期政権に批判的な態度を示すのである。民主党政権がもう少し長く続き、実績も積み上げていたならば、「政権イコール自民党」という図式も壊れていたであろうし、団塊の世代の態度もまた変化していたであろう。
2012年8月、衆院本会議に臨む菅直人前首相(左)と鳩山由紀夫元首相(酒巻俊介撮影)
2012年8月、衆院本会議に臨む菅直人前首相(左)と鳩山由紀夫元首相(酒巻俊介撮影)
 「政権交代」というスローガンで権力の座に着いた民主党は、政権運営に失敗し、「政権交代」という言葉は輝きを失った。元気で知識も時間も潤沢にあるシルバー世代は、民主党や後継の諸政党に代わって、自民党政権を監視する役割を果たしている気分なのである。

 団塊の世代の安倍政権に対する批判的な姿勢は、民主党政権に対する絶望が原点だと言ってもよい。民主党政権の責任は極めて重い。