2018年11月12日 11:48 公開

パリで11日、第1次世界大戦終戦100周年の記念式典が開かれ、エマニュエル・マクロン仏大統領は各国首脳に国家主義(ナショナリズム)を拒否するよう呼びかけた。

ドナルド・トランプ米大統領やロシアのウラジーミル・プーチン大統領などが参列する中、マクロン氏は国家主義は「愛国心の裏切りだ」と訴えた。

「『自国利益が最優先で他国のことなど気にしない』と言うことで、その国で最も大切なもの、つまり倫理的価値観を踏みにじることになる」

記念式典は世界各地で行われた。

1914~18年の第1次世界大戦では970万人の兵士と1000万人の市民が犠牲となった。

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記念式典に併せ、2カ国首脳会談を持った国もあった。プーチン氏は記者団に対し、トランプ氏と短い会話を交わし、結果は好ましいものだったと話した。

一方でロシアのメディアは、仏政府主催の午餐会では、トランプ氏とプーチン氏が隣に座らないよう直前に席順が変えられたと報じた。

パリの記念式典

マクロン氏をはじめとする各国首脳や高官は、パリの凱旋門の地下にある無名戦士の墓まで歩いて参拝した。この日は雨で、パリ中の教会の鐘が鳴らされる中、マクロン氏らは黒い傘を差して行進した。

その後、20分近い演説で、マクロン大統領は各国首脳に「平和のために戦う」よう訴えた。

「国際社会から身を引き、暴力や一極支配などに魅了されてこの希望を踏みにじるのは、間違いだ。そのようなことになれば、それは我々の責任だと、次世代は当然指摘するだろう」

式典は、1918年11月11日午前11時に終戦を知らせたラッパの演奏で締めくくられた。

この日の午後には「パリ平和フォーラム」と題された平和会議が開かれ、マクロン氏やアンゲラ・メルケル独首相に加え、プーチン氏やトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領も参加した。

メルケル氏は、欧州やあらゆる場所で「視野の狭い」国家主義が力をつけていると警告した。

10日にマクロン氏とメルケル氏はパリ北部のコンピエーニュを訪問し、1918年に休戦協定が調印された列車の中で、戦没者リストに署名した。

トランプ氏の訪問で物議

トランプ大統領は平和会議には参加せず、開始時間には帰途についていた。

11日の式典のほかには、大戦で命を落とした「勇敢なアメリカ国民を追悼する」ためにパリ西部シュレンヌの墓地を訪れた。

その一方でトランプ氏は10日、米兵など戦没者が眠る別の墓地訪問を、悪天候を理由に中止。他の首脳が雨の中でも参列しただけに、トランプ氏の欠席は物議を醸した。

11日の式典の直前には、胸に「偽の平和主義者」と書いた上半身裸の女性抗議者がトランプ氏の車列の数メートル先まで迫り、逮捕される事件があった。

また、約50の活動家グループがトランプ氏の訪問に対する抗議集会を開く予定という。

各国でも式典

オーストラリアでは、キャンベラの国立戦争記念館で式典が行われたほか、アデレードでは飛行機から紙製の赤いポピーがまかれた。

スコット・モリソン豪首相はキャンベラでの式典で、戦没者追悼の重要性について語り、「変動の激しい現代の潮流をより賢く切り抜けるために、過去から学ばなくてはならない」と話した。

ニュージーランドでは、首都ウェリントンで追悼の意を示す銃声が鳴らされた。

インドでは、大戦に従軍して死亡した7万4000人の兵士の追悼式典が行われた。

ナレンドラ・モディ首相は11日、「インドが直接関わった戦争ではないが、我が国の兵士はひたすら平和のために世界中で戦った」とツイートした。

英国でも、大戦の終結を記念するさまざまな式典が開かれた。

ロンドンではホワイトホール(官庁街)にある追悼施設で初めて、抽選で選ばれた市民が式典に参加した。


(英語記事 Macron rejects nationalism on Armistice Day