2018年11月12日 14:40 公開

男子テニスで年間成績上位8人が競う今期ツアー最終戦、ATPツアー・ファイナルズがロンドンで現地時間11日に開幕し、シングルスの1次リーグB組(グループ・レイトン・ヒューイット)で世界ランキング9位の錦織圭(日本)が同3位のロジャー・フェデラー(スイス)に7-6、6-3でストレート勝ちした。

錦織は上位選手の欠場に伴い、繰り上がりで出場している。フェデラーは今大会でプロ100勝目を狙ったが、初戦を落とした。

普段は落ち着きを見せるフェデラーだが、この日はミスを重ねていら立つ、自分らしくない展開に。最後はフェデラーのフォアハンドが外れ、錦織が勝利を手にした。

この日フェデラーはアンフォースト・エラー(自分に原因があるミスショット)を34度記録。第1セットで観客席にボールを飛ばしてしまい審判から警告を受けるなど、忘れたくなるようなパフォーマンスだった。

フェデラーがATPファイナルズの初戦で敗れたのは4度目。ただフェデラーは、同じく黒星発進となった2007年の同大会で優勝している。

フェデラーは13日に世界8位のドミニク・ティエム(オーストリア)と対戦する。ティエムは11日、世界6位のケビン・アンダーソン(南アフリカ)に敗れた。錦織は13日の1次リーグ第2戦でアンダーソンと対戦予定。

1次リーグA組(グループ・グガ・クエルテン)に入った世界1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)は12日、ロンドンのO2アリーナで世界10位のジョン・イスナー(米国)と初戦を戦う。

いら立つフェデラー

フェデラーは試合序盤、静かな立ち上がりを見せると、錦織がサーブ権を持つ第1セット第4ゲームで圧力をかけ、一時デュースに持ち込んだ。しかしエラーが出始め、フェデラーの雰囲気は目に見えて悪くなった。

第1セットはタイブレークとなり、錦織が6-1とリードして逃げ切るかと思われたが、フェデラーが粘って6-4に。しかしフェデラーのフォアハンドがネットにかかり、錦織が第1セットを先取した。

4大大会で通算20度の優勝を誇るフェデラーだが、この日は自分自身にいら立ちを募らせていく。一方の錦織は、ひたすら自信を深めていった。

第2セットは最初の2ゲームをブレークしあう展開だった。しかし錦織は第6ゲームで再びブレークし、ゲームカウントを4-2とすると、直後の第7ゲームをラブゲームでキープした。

第9ゲーム、フェデラーがエラーを重ねて40-0となり、錦織は3回のチャンスを持つマッチポイントを迎える。1度リターンをネットにかけたものの、最後はフェデラーのフォアハンドがミスショットとなりベースラインを越えてアウトに。錦織が試合を制した。

錦織は試合後のインタビューで、「勝てて嬉しい。自分のアイドルと戦うのは決して楽ではない。フェデラーと戦うのはいつも大きな挑戦で、だから勝てたのは素晴らしいことだ」と語った。錦織はこの大会で過去に2度準決勝に進出している。

1次リーグB組(グループ・レイトン・ヒューイット)

勝敗

セット数

ゲーム数

錦織圭

1-0

2-0

13-9

ケビン・アンダーソン

1-0

2-0

13-9

ロジャー・フェデラー

0-1

0-2

9-13

ドミニク・ティエム

0-1

0-2

9-13

フェデラーの敗因は

直近の3試合、スイスのバーゼルで優勝、中国の上海とフランスのパリでも準決勝に進出と好調を維持してきたフェデラーは、この日のプレイ内容が普段より悪かったことの原因として、神経質になったこととコート表面の状況を挙げた。

「ここのコートは、私がプレイした最近数試合の会場と違い、明らかに球の走りが遅い。そのため、みんなが少しずつ調整している。自分もそうだ」とフェデラーは語った。

「自分の体調はいいが、ただ練習がいささか散漫で、ロンドンのクイーンズ・クラブ、この会場の外のコート、ウィンブルドンのセンターコートと、あちこち移動した。なのでいつも同じ状況ではなかった」

「全体的にボールをうまく打てていたし、試合前練習もよかった」

「たぶん私たちは2人とも、少し神経質になっていた。セカンドサーブをどう打っていいかわからず、ぴったりした感覚をつかもうしていた。我々は試合序盤、2人ともそこで苦しんだ」

フェデラーは今大会、2011年以来7度目の優勝を狙っている。達成すれば、最多優勝記録の更新となる。

記録更新のチャンスは、世界2位のラファエル・ナダル(スペイン)と世界4位のフアン・マルティン・デル・ポトロ(アルゼンチン)のけがによる欠場でさらに増している。ただ、ジョコビッチも同様に大会制覇を目指している。

優勝候補は自分だと強調するかのように、ジョコビッチは12日午後、O2アリーナでの調整に姿を見せた。シーズン終了時世界ランク1位の栄冠を頭上に掲げるため、ジョコビッチはトロフィー獲得を狙う。

<分析>ティム・ヘンマン(テニス元英国1位、BBCテレビ)

フェデラーは全キャリアを通じて、ばかばかしいほどいとも簡単そうにプレイしてきた。しかし、今日のプレイは決して簡単そうではなく、観る側には衝撃的な光景だった。

私は試合前、錦織が勝つには、フェデラーが水準以下のプレイでなくてはならないと述べた。そしてそれが起きた。

フェデラーは試合中、リズムを全くつかめなかった。錦織は特にサーブが優れているわけではないが、フェデラーは第1セットでブレークポイントもつかめなかった。

試合を通じてフェデラーは何度もエラーを見せたし、正しい位置取りをできなかった。

ラッセル・フラーBBCテニス担当編集委員

フェデラーはATPファイナルズ1次リーグで直近11試合を連勝してきた。しかし、エラーの多いパフォーマンスで、準決勝への道を非常に難しいものにしてしまった。

第1セット、ゲームカウント5-6で迎えた第12ゲーム。0-30のスコアから、錦織は素晴らしい動きのバックハンド・ハーフボレーなどでゲームをキープ。タイブレークを7-4で勝利し、同セットを先取した。この試合、錦織の方が選手として強く、自信を持っていた。

サーブ・アンド・ボレーも適切なタイミングで決まり、錦織はフェデラー戦の連敗を6で止めた。

(英語記事 ATP Finals: Roger Federer beaten by Kei Nishikori in opening group match