その謎を解くカギは、労働力の内訳にある。改めて、労働力調査の数値を細かく読み解いてみよう。ここでのポイントは「世代」と「職種」である。

 全体の労働力人口は確かに大幅に増加している。しかし、その中において、顕著な減少を示している部分がある。それは、35~44歳の労働力人口である。この世代の労働力人口は、平成23年に1582万人となって以降、人口減少そのものの影響を強く受けて、じわじわ減り続けている。

 平成29年におけるこの世代の労働力人口は1497万人であり、6年で100万人近く減っている(ちなみに、その下の25~34歳の労働力人口も減り続けている)。この傾向は人口減少の影響なので今後も止めようがない。

 この世代はいわば「働き盛り」の年代で、さまざまな労働の現場で中核となることが期待される層である。この世代の労働力が減少するということは、「体力と一定の経験を兼ね備えた中堅のスペシャリスト」がいなくなることを意味する。

 しかも、現在のこの世代は、平成10年代初頭の「就職氷河期」の影響をまともに受けている人が多く、経験値の高い人材の絶対数はより少ない。結果として、こうした人材は不足することになる。

 また、職種による差も大きい。先に述べたように、日本の労働力人口増の要因となっているのは、高齢労働者と女性労働者の増加である。この層の労働者に若年・中年の男性労働者ほどの体力はないから、いわゆる現場系の仕事を全面的に代替することは難しい。ハローワークの統計(平成30年9月)によると、現在有効求人倍率が極めて高いのは「保安」(8・65倍)、「建設・採掘」(4・99倍)、「サービス」(3・56倍)といった職種である。「事務的職業」の有効求人倍率が0・49倍と、人余りの状況を呈していることと比べると、非常に対照的である。
※画像はイメージです(GettyImages)
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 このように、労働力人口自体は増えているが、職種によって、求める人材像と大きなギャップが生じており、そのことが「人手不足感」をもたらしていることが分かる。

 では、こうした状況にどのように対応すれば良いのか。

 国全体として労働力そのものは増えているというのであれば、人手不足の職種への移動を促すというのが、望ましい方法ということになるだろう。近年、増加傾向にある労働者層の多くは非正規労働者なので、もともと流動性が高いといえる。