外国人労働者の拡大は、90年代後半から2000年代初頭の欧州がとってきた政策である。この結果、欧州はどうなったか。自国の若者の失業率が増え、治安が悪化し、ここ1、2年の間、欧州はそれを見直そうとする動きが出てきている。この例を見ると明らかに、治安の悪化と日本人の雇用への影響は避けられないだろう。

 そもそも、外国人労働者を多数受け入れるとしても、社会保障などの整備といった問題が山積である。本来、社会保障は当該国家との相互制度が基本だが、日本は厚労省の通達があるにもかかわらず、外国人にも生活保護が認められるケースがある。

 低賃金の外国人の流入はこの生活保護の問題と密接なかかわりを持ってくるだけに、早急な対応が求められる。困窮した外国人が在留期限を過ぎても居座り、生活保護を受けるということは大いに考えられる。また、不法滞在になった者が日本人と結婚して在留資格を得てしまうこともある。

 さらに、健康保険制度との密接なかかわりもある。日本人には皆保険制度を維持し、外国人には審査の上、保険を適用することも考える必要がある。子弟の就学や医療などを含め、生活支援策も必要になる。これを日本の納税者が賄うのは考えものだ。

 また、外国人労働者によって、日本の技術流出が起こることも十分考えられる。そして、一人でも加入できるユニオンなどの労働組合とともに、不当な要求などが相次げば、企業存続の根幹を揺るがしかねない。実際、建設現場で働いている外国人労働者を勧誘しているユニオンが既に存在しており、こうしたリスクを回避すべく体制を担保してから慎重に進めるべきであろう。

 では、外国人活用以外の策はないのだろうか。まず、企業の残業ありきの人員資本政策を見直す必要がある。どこもギリギリで人員を考えているので、いざという時に対応できない。ゆえに、人手不足は企業単位でなく、業界全体で取り組むべきだ。

 人手不足の業界は、労働条件が悪いことが根底にあるだけに、業界全体で労働条件の向上や働きやすい職場作りを進めていく必要がある。業界全体で慣行や構造の転換を図り、業界内で横のつながりを持ち、場合によっては「人材の貸し借り」という経営判断があっても良いのではないか。

 また、雇用の流動化の観点から、一つの職場に縛り付けておくのではなく、企業から見れば解雇しやすい、労働者から見れば転職しやすい制度を構築すべきである。要は、過去の労働判例から確立された4つの要件である「整理解雇4要件」(①人員整理の必要性 ②解雇回避努力義務の履行 ③被解雇者選定の合理性 ④解雇手続の妥当性)の見直しを急ぐべきだ。
※写真はイメージです(ゲッティイメージズ)
※写真はイメージです(ゲッティイメージズ)
 これにより、ある企業では埋もれた人材が、他企業に転職した場合、活躍する事例(プロ野球のトライアウトやトレードによる選手の入れ替え)も増えていくのではないだろうか。そのためには「解雇」=「悪」=「クビ切り」=「無能」といったレッテルを変えていくことが重要であり、企業間同士の人材交流を積極的に行っていくべきである。

 人手不足は、日本の根幹を揺るがす喫緊の課題であることに間違いない。それだけに官民の力を合わせての対策が求められる。ただ単に外国人労働者の受け入れ拡大ではなく、様々な政策パッケージを行ってほしい。外国人雇用政策はあくまでも、人手不足の特効薬であるとの認識を持つべきである。