外国人労働者の子どもの教育をめぐる問題は今後、広がる可能性がある。山口氏はその大きな理由の1つに、1993年に創設された「外国人技能実習制度」を挙げる。厚生労働省によると、2017年10月末時点で、技能実習生は全国に25万7788人だった。前年度に比べて22.1%増である。

 この制度は、日本の企業などが発展途上国の人を最長3年まで技能実習生として受け入れ、OJT(On-the-Job Training)を通じ、職業上の技能や技術などを修得させるものだ。3年を終えると、通常は帰国し、その国の経済発展を担うことになる。2017年11月から施行される「外国人技能実習制度」の適正化法により、今後は最長5年になる。

 この制度には日本が「職業などの技術の移転」を通じて国際協力するという側面があり、理念としては尊い。しかし、ある面では形骸化し、すでに問題になっている。

 4年ほど前から、APFS労組には外国人技能実習制度で来日し、機械や繊維の工場などで働くミャンマー人が労働相談に来ている。これまでのべ30人ほどになる。多くが10~30代の女性だ。最近は、岐阜、大阪、宮崎の繊維工場で洋服をつくる仕事をしていた女性たちが「工場でひどい扱いを受けている」と助けを求めてきた。ミャンマー人同士の口コミで、APFS労組のことを知ったのだという。相談は、次のようなものだった。

 「毎日午前7時30分から午後10時まで働かされる」「月額10万円以上もらえると聞いて来日した。実際は、手取り7~8万円だった」「月に6~7万円しか支給されないから、生きていけない」「パスポートを社長に取り上げられているから、辞めることができない」……。

 本来、入国直後の講習期間(原則2カ月間)以外は、企業などで雇用関係の下、労働基準法をはじめとした労働関係法令などが適用される。山口氏は「労働法規が守られていないのではないか」とみる。
組合員のみなさん
組合員のみなさん
 APFS労組の組合員である外国人のほぼ全員が、日本での在留を希望しているという。外国人労働者の子どもの教育問題はさらに広がっていくのではないだろうか。

よしだ・のりふみ ジャーナリスト・記者・ライター。ジャーナリスト。1967年、岐阜県大垣市生まれ。2006 年から、フリー。主に、人事・労務分野で取材・執筆・編集を続ける。『悶える職場』(光文社)、『震災死』『あの日、「負け組社員」になった…―他人事ではない“会社の落とし穴”の避け方・埋め方・逃れ方』(ダイヤモンド社)『封印された震災死』(世界文化社)など。