2018年11月13日 13:34 公開

国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは12日、ミャンマーの事実上の指導者アウンサンスーチー国家顧問兼外相(73)に授与した同団体最高の栄誉「良心の大使賞」を取り消す意向を明らかにした。

ノーベル平和賞受賞者の政治家アウンサンスーチー氏は、自宅で軟禁状態にあった2009年に同賞を受賞した

アムネスティ・インターナショナルは、ミャンマーの軍事弾圧から逃れた約70万人のイスラム系少数民族ロヒンギャのために、アウンサンスーチー氏が声を上げなかったことに深く失望したと理由を説明した。

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「あなたはもはや希望、勇気、そして不朽の人権保護を表す象徴でなくなった」と、アムネスティ・インターナショナルのクミ・ナイドゥ事務総長はアウンサンスーチー氏宛ての書簡に書いた。

「(ロヒンギャに対する)残虐行為がいかに深刻で大規模なものか(アウンサンスーチー氏が)否定したことは、状況改善の見込みがほぼないことを意味する」とナイドゥ氏は述べた。

アムネスティはかつて、アウンサンスーチー氏を民主主義の道しるべとなる光だと賞賛したが、同氏が自宅軟禁を解かれてから8年となる12日に今回の決定を明らかにした。

アウンサンスーチー氏は2016年、仏教徒が大半を占めるミャンマーで事実上の指導者となった。それ以来、ミャンマー軍がロヒンギャに行っているとされる残虐行為を非難するよう、アムネスティ・インターナショナルなどの国際社会が圧力をかけているが、同氏は拒否し続けている。

アウンサンスーチー氏は、イスラム系ロヒンギャの殺害を調査していたロイター通信の記者2人が投獄された件も擁護している。

前回BBCのインタビューに応じた2017年4月、アウンサンスーチー氏は今起きていることを言い表すのに民族浄化は表現が強すぎる」と述べていた。

ミャンマー政府は、バングラデシュ政府との合意に基づき今週後半から、帰還難民の第1陣を受け入れる予定だ。バングラデシュは、ロヒンギャの帰還開始について国連と人道支援団体に通知している。

国連難民機関は、ロヒンギャの家族がかつて住んでいた村で安全に尊厳を持って暮らせると思うか、自分たちで決めてもらいたい意向だ。


<解説> 栄誉がひとつひとつ取り消され――ニック・ビークBBCミャンマー特派員

アウンサンスーチー氏は、暴力的な軍事独裁政治に直面しつつもミャンマーの民主化を揺るぎなく追求し、そのため15年近くにわたり自宅で軟禁されていた。その姿に世界中の政府、都市、人権団体が次々と賞などの栄誉を贈った。

1989年という早い段階でアムネスティ・インターナショナルはスーチー氏を「良心の囚人」と認定。20年後には、同団体で最高の栄誉となる「良心の大使賞」を授与した。南アフリカの故ネルソン・マンデラ氏も受賞していた賞だ。

それが今、アムネスティ・インターナショナルは賞を取り消すとアウンサンスーチー氏に手紙を書いた。いわく、「もはや良心の大使として正当化できない」ためだ。

国連調査員は8月、昨年のいわゆるジェノサイド(集団虐殺)にアウンサンスーチー氏が加担したわけではないものの、国内でいまだ支配的なミャンマー軍がロヒンギャ数千人を殺害し強姦するのを、自らの道徳的権威を使って防ごうとしなかったと結論した。

自分が政府の一員でいる間に、人道に対する犯罪が行われたことを、アウンサンスーチー氏は断固として認めようとしない。国際社会はその彼女に長年与えてきた様々な自由や特別研究員としての資格、そして名誉市民権さえ、ひとつひとつ取り消している。


(英語記事 Aung San Suu Kyi: Amnesty strips Myanmar leader of top prize