2018年11月15日 13:30 公開

ブレグジット(英国のEU離脱)に関する合意案が13日にまとまり、14日に英内閣の承認を受けたことについて、この問題の欧州連合(EU)側首席交渉官ミシェル・バルニエ氏は14日、ブレグジットの最終合意に向けた「決定的な」進展があったと述べた。

14日に公表された585ページに及ぶ合意案が、「交渉妥結に向けた不可欠の一歩」だとバルニエ氏は話した。

また同氏は、英国とアイルランド間に厳格な国境管理が復活しないようにする対策も合意案に盛り込まれたと語った。

バルニエ氏の発言は、合意案が閣議承認を得たという14日夜のテリーザ・メイ英首相の発表を受けたもの。

英政府は秩序あるブレグジットに向けて「不可欠の一歩」を選んだが、他のEU加盟27国の指導者も今後、合意案について賛否を決めなくてはならない。

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英内閣は離脱合意案を承認したが、メイ首相は次に英議会の同意を取り付けなくてはならない。

合意案に対するバルニエ発言

2019年3月末のEU離脱に向けて英国が準備を進める中、離脱合意案はいわゆる「離婚」に伴う諸問題を取り上げている。合意案には英国が支払う「和解金」についての取り決めも含まれる。この和解金は約390億ポンド(約5兆7580億円)になるとみられる。

EU本部のあるベルギー・ブリュッセルで記者会見したバルニエ氏は、「離婚」における大きな懸念点となっているアイルランドとの「厳格な国境」問題について説明した。

北アイルランドとアイルランド共和国間の国境で、モノやインフラに物理的な審査が必要になるのを避けるため、EUは貿易協定の合意に向けて英国と協働する。ただし、合意交渉が失敗した場合、「バックストップ(防御策)」と呼ばれる対策が導入される予定。

代替処置を考え出し、バックストップ導入を不要にするため、英・EU双方が解決を模索している。

バルニエ氏は、「2020年までに我々が代案を準備できない場合、準備期間を延長もできるので、そうすればさらに時間が得られる。もし延長後の期限内でも合意に至らなければ、バックストップ合意が発効する」と述べた。

「英国全土は単一関税の地域となり、その中には北アイルランドも残る。また、北アイルランドは単一市場の規則に従い続ける。このことは農業政策を含めた国境管理の排除に極めて重要だ」

英国とEUの未来における永続的関係の実現を容易にするための移行期間は、これまで21カ月と設定されてきた。しかし、今回の離脱合意案では、この移行期間は双方が合意すれば延長も可能だと規定している。

バルニエ氏は、いかなる延長も一度限りの「期間限定で、双方が合意する」ものになると述べた。

合意案が、欧州からの英国の「離婚」で生まれる結果について「法的確実性」をもたらすともバルニエ氏は語った。

英領のジブラルタルとキプロス島の一部にも、特別な協定が結ばれる。協定はそこで暮らす住民が「今しているのと同じように生活を続けられる」ようにするものだとバルニエ氏は付け加えた。

同氏は合意案は進展の証だとした一方で、「やるべきことはまだある」とも指摘した。

他の欧州各国首脳の反応は

欧州議会で離脱交渉を担当するヒー・フェルホフスタット氏は、合意案が「市民の権利保護と、アイルランドの厳格な国境管理の排除」をもたらすものだとして、合意案承認の知らせを歓迎した。

フェルホフスタット氏は声明で、「英国がいつかEUに戻ることを希望するが、その間、この合意案は緊密な関係を維持しつつも、ブレグジットを実現可能にする」

ジャン=クロード・ユンケル欧州委員長は14日夜、合意案を英内閣が承認したとのメイ氏の発表を受け、合意を締結するEUと英国間の会談を開くよう勧めるツイートを投稿した。

ユンケル委員長は欧州理事会のドナルド・トゥスク常任議長(EU大統領)に宛てた手紙の画像をツイッターに掲載。「英国のEUからの秩序だった離脱に向けた交渉が決定的な進捗を見せたことを確認するための、EU基本条約(リスボン条約)50条に基づく欧州理事会の開催を勧める手紙を、少し前にトゥスク氏に送った」と記した。

https://twitter.com/JunckerEU/status/1062797384906891265


フィンランドのユハ・シピラ首相は14日、この日の進展は重要なものだが、「最終合意に向けて英・EU双方の決定がさらに必要だ」とするツイートを投稿した。

オーストリアのセバスティアン・クルツ首相は、「とても嬉しく思った」と述べ、「この結果はいいものだ」と付け加えた。

ブレグジット合意を締結する会談を開く時期の決定権を持つトゥスク常任議長の事務所によると、トゥスク氏は現地時間15日朝(日本時間同日夕)にバルニエ氏と共に記者発表する予定という。

(英語記事 Brexit: Draft agreement a 'decisive' step forward, says Barnier