2018年11月16日 13:43 公開

米国でホームレス男性のために資金集めをしようと呼びかけて話題になった人物が、詐欺による窃盗罪と共謀罪で起訴されたことが15日、明らかになった。

ケイト・マクルーア被告とマーク・ダミコ被告は、合計で40万ドル(約4530万円)以上を元海兵隊員のホームレス男性、ジョニー・ボビット被告のために集めた。

しかしボビット被告は8月、正当な自分の分け前をもらっていないと主張し、2人に対し法的措置を取った

だがニュージャージー州の検察官は、このたくらみにボビット被告も加担していたとしている。3人は全員、同じ容疑となる。

米メディアによると、ダミコ被告とマクルーア被告の弁護士はコメントを拒否している。

検察側の言い分は?

米東部ニュージャージー州バーリントン郡のスコット・コフィーナ郡検事は15日の記者会見で、「資金集めのきっかけとなった話は、実話にしてはうますぎるように思われたかもしれない。残念ながら、そのとおりだった」と話した。

コフィーナ検事は「募金活動すべてが嘘の上に成り立っていた」と付け加えた。

検察側は、募金活動は開始1カ月前に計画されたと考えている。

募金活動を説明する文章には、2017年にマクルーア被告の車が故障した際にボビット被告が「最後の20ドル」を使って助けたと書かれていた。

ボビット被告の身柄は現在も拘束されているが、マクルーア被告とダミコ被告は12月24日に開かれる公判まで保釈されている。

3人は、第2級犯罪で5年から10年の禁固刑が言い渡される可能性がある。

ボビット被告は昨年12月、インスタグラムに、ラジオ番組に出演した際の画像を投稿。「『プレストン・アンド・スティーブ・ショー』は人生で最高の経験の1つだった。司会者はこれ以上ないほど親切で優しかった。路上でも彼らのポッドキャストを聞くよ!」と書いている。

https://www.instagram.com/p/BcIee6kFrFl/

そもそもの募金活動とは?

ボビット被告、そしてマクルーア被告とダミコ被告が話題を集めたのは、2017年11月にマクルーア被告がクラウドファンディングによる募金サイト「GoFundMe」で募金活動を始めたのがきっかけだった。3人が起こした募金活動は、道路脇で自分を助けてくれたホームレスの男性に借りを返したいとしていた。

募金ページのトップ画像には、道路脇に立つマクルーア被告とボビット被告の写真が使われた。ボビット被告は退役軍人で薬物中毒者でもあり、ホームレス生活を数年続けていた。

寄付した人は1万4000人以上に上り。その多くは、この話の詳細に感銘を受けた人たちだった。例えば、ボビット被告は車のドアに鍵をかけておくようマクルーア被告に指示し、ガソリン1缶を持ってきてくれたといった内容だ。

当局は15日、3人はボビット被告がよくいた地下道のそばにあるカジノにマクルーア被告とダミコ被告が訪れた際に出会っており、その後、資金集めに使う写真をわざと撮ったと考えていると述べた。

策略失敗のきっかけは?

3人の関係は8月、ボビット被告が2人に法的措置を取ったことで悪化した。金遣いが荒い生活様式の資金源として、集めた募金を2人が自分たちの個人的な「貯金箱」として使っているとボビット被告は主張した。

もともと設定していた募金目標額1万ドル(約113万円)を超えた後、2人はボビット被告のために新しい服とキャンピングカーを買ったが、後に2人はボビット氏に対し自分たちの家の前から車を撤去するよう要求したと報じられている。

マクルーア被告とダミコ被告は、インターネット上の支援者に対し、集まった資金はボビット被告のために設けた2つの信託基金に入れ、ボビット被告の資金管理を手伝うための弁護士と金融アドバイザーを雇うのに使うと話していた。

「手に入るお金を彼(ボビット被告)はすべて薬物に使ってしまっていた」とダミコ被告は8月、米テレビ局NBCで全国放送されたインタビューで話していた。

捜査官は、3人がもともと、人を気の毒に思わせて寄付せざるを得ない思いにさせるためにこの話をでっち上げたと主張している。

集まった資金はどうなったのか

マクルーア被告とダミコ被告が受け取った金銭は総額36万7000ドル(4160万円)以上に達し、自動車、休暇旅行、高級ハンドバッグ、カジノでのギャンブルに使われたとコフィーナ検事は説明した。

同検事によると、ボビット氏は約7万5000ドル(約850万円)を受け取った。

警察が確認した数千通に及ぶテキスト・メッセージで、ダミコ被告とマクルーア被告は請求書の支払いや借金の返済ができないなどの財政難を話し合っており、さらにダミコ被告は、この話の出版契約を取り付けるためにもっとお金を調達したいとの希望を述べていた。

コフィーナ検事は、ボビット被告がホームレスであることに同情を示しつつも、複数のメディアに登場して話を売り込んだり、当初撮られた写真にも写ったりするなど、同被告がこの募金活動に「完全に加担」していたことを非難した。

当局によると、ボビット被告は2012年にも、ガソリンが切れた女性を手助けしたという類似の話をフェイスブックに投稿していた。しかし当局は、「全面的な責任」は3被告全員に帰せられるべきだとしている。

募金サイトGoFundMeの広報担当者は米CNNに向けた声明の中で、この募金活動に寄付した人には返金が行われると認めた。

(取材:ジョージーナ・ラナード BBCソーシャルニュース)

(英語記事 US homeless fundraiser: GoFundMe campaign 'based on a lie'