鈴木朋子(ITジャーナリスト)

 「この日のためにテスト頑張ったのにー!」。ある女子中学生がインスタグラムのストーリーに叫んだその日は、BTS(防弾少年団)の『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)出演予定の日だった。

 BTSは韓国の人気アイドルグループだ。2013年に韓国で、2014年に日本でデビュー。2017年には人気チャート「ビルボード」トップアーティスト10位にランクイン、iTunes(アイチューンズ)のアルバムチャートでも全世界73カ国で1位を獲得するなど、輝かしい活躍を見せている。

 現在、グローバルツアーの真最中で、国内では11月の東京ドームを皮切りに、四つのドームでコンサートを行う。所属事務所によると、東京ドーム公演では計10万人の観客を集めたという。

 そのBTSのメンバーの1人が、過去に「原爆Tシャツ」を着ていた写真がネットを駆けめぐっている。Tシャツにはキノコ雲と韓国国民が万歳している様子がデザインされていた。

 事態を重くみたテレ朝は、ミュージックステーションへのBTS出演を取りやめた。さらに、複数のメディア出演がキャンセルとなり、楽しみにしていたBTSファンが悲しみの声を会員制交流サイト(SNS)に寄せたというわけだ。

 その後、BTSが過去にナチスのシンボルであるハーケンクロイツ(鍵十字)が入った帽子を着用していた画像や、イベントのパフォーマンスでナチスをイメージさせる旗を振って公演を行った画像がインターネットで話題になり、内定とまでうわさされていた『紅白歌合戦』の出演も果たせなかった。NHKは選考にあたって、「総合的に判断した」とし、個別の選考基準については答えていない。

 一方、その紅白歌合戦に2年連続で出場を決めたK-POPアーティストがいる。TWICEだ。TWICEは韓国で結成された9人組の女性グループで、メンバーには韓国人のほかに日本人と中国人が含まれている。

 NHKによると、TWICEは今年リリースされた作品がすべてチャートで1位を取っていることなどが依頼の決め手だったという。しかし、メンバーの全てが韓国人であるBTSとは異なり、韓国色が薄いためではないかという推測の声もある。

 現在の韓国人気は「第3次韓流(はんりゅう)ブーム」と言われている。女子中高生向けのマーケティング支援などを手がける調査会社AMFが発表した「2018年上半期のJC・JK流行語大賞」では、「ヒト部門」の2位にBTS、4位に4人組ガールズグループのBLACKPINKと、2組の韓国アーティストがランクインした。
東京・新大久保の韓国料理店=2018年6月
東京・新大久保の韓国料理店=2018年6月
 そして「モノ部門」の1位に選ばれたのが、「チーズドッグ」というチーズがたっぷり入った韓国発のホットドッグだ。チーズが伸びる様子が「インスタ映え」すると大人気になり、新大久保の店舗には行列が絶えない。

 コリアンタウンと呼ばれる東京・新大久保には韓国のファッションやグルメ、コスメが全てそろっており、休日ともなれば、若い女性を中心に道路も店も大混雑を見せている。同社が2017年12月に発表したランキングにもTWICE、チーズタッカルビ(鶏のカルビ焼き)、ウユクリーム(コスメ)など韓国発のキーワードが並んでおり、韓国人気は依然衰えていないことがうかがえる。