2018年11月16日 14:41 公開

サウジアラビア検察は15日、10月2日にトルコ・イスタンブールのサウジ総領事館で起きたジャマル・カショジ記者殺害は、サウジ情報機関の工作員が指示したものだという結論を発表した。記者殺害をめぐっては、サウジアラビアの実質的な支配者ムハンマド・ビン・サルマン皇太子の指示を疑う声もあったが、検察はこれを否定した。

検察報道官は、反体制派のカショジ氏に帰国するよう説得するのが工作員の任務だったと説明した。

カショジ記者はイスタンブールのサウジ総領事館で10月2日、もみ合いの後に薬物を注射されて殺害されたと、報道官は付け加えた。

サウジ検察は殺害をめぐり11人を起訴。そのうち5人に死刑を求刑した。

11人については公判手続きが行われている。一方、さらに10人が殺害に関与した疑いがあるとして、捜査が続いている。

米財務省は15日、サウジ高官17人に経済制裁を科した。米財務省は制裁対象となった高官について、カショジ記者を「標的にし、残忍なやり方で殺害した」と述べた。カショジ記者は米国に住み、仕事も米国でしていた。同省はカショジ氏が「高官らの行動の被害を受けた」とした。

財務相による制裁対象は、「殺害計画の一部立案と作戦の実行」が疑われるサウド・アル・カフタニ前皇太子顧問、作戦を「共同でとりまとめ、実行」した疑いのマヘル・ムトレブ氏、駐イスタンブールのサウジアラビア総領事モハメド・アル・オタイビ氏など。。

マイク・ポンペオ米国務長官は、制裁が「カショジ氏殺害に対する重要な一歩」だと述べ、「すべての関連事実を探し続け、連邦議会と協議の上、関係者の責任を問うため諸外国と強力を続ける」と表明した。

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サウジアラビア検察局のシャラアン・ビン・ラジフ・シャラアン副局長は15日、リヤドで記者らに対し、カショジ記者は死亡後、総領事館内で遺体をバラバラにされたと発表した。

切断された遺体はその後、敷地外にいる現地の「協力者」に渡されたと、シャラアン副局長は付け加えた。検察はこの協力者の似顔絵を作成したほか、遺体捜索を続けているという。

シャラアン氏は、記者殺害で起訴された人物の身元は明らかにしなかった。

ただし同氏は、情報機関副長官のアフメド・アル・アッシリ将軍がイスタンブールに派遣した「交渉部隊の部隊長が殺害を指示した人物だと、捜査から判明した」とも述べた。この交渉部隊は、サウジアラビアから脱出したカショジ氏を、強引にでも帰国させるのが任務だったという。

「(皇太子は)この件について何も知らなかった」とシャラアン氏は主張した。

サルマン国王の息子でサウジアラビアを事実上支配するムハンマド皇太子は、自分や記者殺害に一切関与していないと主張している。皇太子は記者殺害を「正当化できない凶悪な犯罪」と呼んだ。

皇太子に批判的な人たちは、皇太子が作戦に気づいていなかったなどあり得ないと主張する。

殺人に関連して逮捕された容疑者21人のうち複数は、過去に皇太子の警備部隊に所属していた。アッシリ将軍とカフタニ氏も殺害事件をめぐり解任されている。

シャラアン氏は、カフタニ氏は旅行を禁止され捜査を受けていると述べたが、アッシリ将軍になされた措置については言及しなかった。

トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は「カショジ記者殺害の指示は、サウジ政府の最高レベルから下された」と述べた。ただエルドアン氏は、サルマン国王が指示したとは考えていないと話している。

トルコのメブルト・チャブシュオール外相は15日、サウジ検察が発表した声明の一部について「満足していない」と述べた。

チャブシュオール外相は報道陣に対し、「サウジ検察は、カショジ氏が抵抗したため殺されたと言っているが、一方で殺害があらかじめ計画されていたとも述べている」と述べた。

「さらに、サウジ検察はカショジ氏がバラバラにされたと言う(中略)これは自然発生的に起こることではない。殺害とその後の遺体切断に必要な装備と人員が用意されていたのだ」

トルコ当局は、記者殺害の数時間前に、サウジの工作員15人が空路でイスタンブールに到着したと見ている。このうち1人はサウジ内務省勤務の法医学者と考えられており、入国時に骨用のこぎりを運んでいた。

チャブシュオール氏は「命令を出した人物やあおった人物も解明されるべきだし、その過程は隠されるべきではない」と述べ、トルコは「この殺人に関する全てを明らかにする」だろうと付け加えた。

(英語記事 Jamal Khashoggi murder ordered by agent - Saudi prosecutor