竹嶋渉(元在韓ジャーナリスト)

 韓国の男性音楽グループ「BTS(防弾少年団)」の原爆Tシャツ着用が日本で大きな騒動になった。この問題について触れる前に、BTSをご存じない方々のために、このグループが何であるかを簡単に説明しておく。今回の騒動を通して、BTSを初めて知ったという方々も少なくないだろう。

 防弾少年団は2013年にデビューした韓国の7人組グループである。韓国語では「パンタンソニョンダン」と読むため、「パンタン」という略称で呼ばれることも多く、グループ名のアルファベットを略した「BTS」という名称で主に活動している。

 その国内外での人気ぶりについては、既に散々報じられているので言及しないが、このグループが今年5月に発売したアルバムは、アジア圏出身者としては初めて、米国の人気チャート、ビルボード200で1位を獲得している。

 今回、「原爆Tシャツ」で物議を醸したジミン(JIMIN)は、このグループのメンバーで1995年生まれの23歳。ジミンが過去(2年前とされる)に着用していたTシャツに原爆のキノコ雲と韓国群衆が万歳をしている写真が印刷されていたことが問題視され、出演予定だったテレビ朝日系の音楽番組『ミュージックステーション』(Mステ)のツイッター公式アカウントに抗議が殺到。Mステ側はBTSの出演を撤回した。Mステに続き、他局の番組や他のメディアも次々とBTSの出演をキャンセルし、最有力視されていた大晦日のNHK紅白歌合戦への出場も叶わなかった。

 さらに、グループのメンバーが過去に、ナチス親衛隊(SS)の記章がデザインされた帽子をかぶったり、コンサートでナチスを連想させる衣装を着て鍵十字に似た模様の旗を掲げるなどしていたことが判明。ユダヤ系人権団体「サイモン・ウィーゼンタール・センター(SWC)」は直後に声明を出して非難し、これまで沈黙を貫いていたBTSの所属事務所もついに謝罪に追い込まれる事態に至ったのである。

 所属事務所は「原爆被害者やナチスの被害者を傷つける意図はなかった」「今後は今回の問題を改善するために最善の努力を行う」と説明したが、要するに「悪意はなかったが、結果がよくなかった。今後はもっとうまくやる」という釈明に過ぎない。
BTS(防弾少年団)(聯合=共同)
BTS(防弾少年団)(聯合=共同)
 ユダヤ人の人権団体ににらまれて、ファシスト(全体主義者)認定された日には米国はおろか、欧州での「商売」にも差し支えるため、謝罪はやむを得ない選択だったのだろう。韓国では「謝罪など必要ない」という世論が圧倒的だったのだから。

 一連の騒動の顚末は以上のようなものだが、この種の問題が発生したのは今回が初めてではない。今回は、たまたまBTSが世界的に有名なグループだったため、これほどの騒ぎになっただけのことである。もっと言えば、韓国人が日本への原爆投下を痛快がるのは、何も今に始まったことではない。

 このことに触れる前に、一般的な韓国人の原爆、ここでは「日本への原爆投下」に対する認識について述べておこう。むろん、日本人であれば「平和教育」という名の下に、幼いころから原爆の惨禍について繰り返したたき込まれている。