彼らの原爆投下や核兵器に対する認識が露呈した実に下品な発言である。これだけでも十分に被爆者への冒瀆(ぼうとく)だろう。それどころか、沈社長は爆弾酒を調合しながら、大島大使の面前で次のような許しがたい暴言も吐いたのである。

 「ビールの泡がぱっとはじける様子が、あたかも原爆を広島に投下してキノコ雲が湧き上がるようではありませんか?」

 この発言と憮然(ぶぜん)とした大島大使の表情は、韓国の通信社系ケーブルテレビ、YTNを通じておもしろ半分に報じられた。この日の講演会は、韓国イメージコミュニケーション研究院(CICI)が「韓国を正しく理解して世界と通じよう」という趣旨で用意したものだったという。ある意味、実に「正しく」韓国を理解することができる講演会だったとも言えよう。

 ちなみに、このバカげた講演会の模様は既に動画サイトで公開されている。日本語字幕入りなので、後学のためにぜひともご視聴願いたい。筆者が先日、同ホテルに電話で確認したところ、既に沈社長は退職したとのことだった。

 ともあれ、原爆投下が韓国人にとっては「痛快な出来事」であるためなのか、韓国ではこれをネタにする芸能人まで現れた。2006年に発売された歌手のRain(ピ)の『I'm Coming』という曲のミュージックビデオには、ピが原爆ドームとみられる建物を背景に歌って踊るシーンが登場し、物議を醸した。

 廃虚に羽根を生やしたピが降臨し、軍服姿のバックダンサーと踊り、焼けた建物の中から炎に包まれた人が飛び出てくる場面もある。日本国内で「反日的だ」という批判が起こると、所属事務所は「日本好きで知られるピが、日本のファンを侮辱するような意図はない」とコメントした。要するに「悪意がなかったから問題ない」ということである。このミュージックビデオについては、被爆者団体の幹部も朝日新聞の取材に対して不快感を表明した。

 2013年5月には、韓国の大手紙、中央日報が「広島と長崎に原爆が投下されたのは神の懲罰」という趣旨のコラムを掲載した。「安倍、マルタの復讐(ふくしゅう)を忘れたのか」と題するコラムには、安倍晋三首相の歴史認識を批判しつつ、「神は人間の手を借りて悪行に懲罰を加えてきた。最も過酷な刑罰が大規模な空襲だ。第2次大戦末期、ドイツのドレスデンが焼かれ、広島と長崎に原子爆弾が落とされた」とし、これらを「神の懲罰であり人間の復讐」などと指摘する内容だった。
2018年5月、日韓首脳会談に向かう安倍首相(右)と韓国の文在寅大統領=首相官邸
2018年5月、日韓首脳会談に向かう安倍首相(右)と韓国の文在寅大統領=首相官邸
 このコラムをめぐっては、在韓日本大使館が中央日報に抗議したほか、広島や長崎など日本国内でも批判が起き、このコラムを執筆した同紙論説委員は「(自分が本来伝えようとした)趣旨と異なり、日本の原爆犠牲者と遺族を含め、心に傷を負われた方々に遺憾の意を表します」と謝罪。安倍首相らの歴史認識を批判する以前に、自分自身のトンデモ歴史観を猛省すべき事案である。

 2014年8月には韓国の女性グループ「Red Velvet」がデビュー曲を発表したが、そのミュージックビデオの一場面に広島への原爆投下の記事や「JAP」などという差別表現が用いられた英字新聞の記事画像が使われていたことが判明。後日、このシーンは別カットに差し替えられた。