田中秀臣(上武大学ビジネス情報学部教授)

 元SMAPの稲垣吾郎、草彅剛、香取慎吾の3人の公式サイト「新しい地図」が誕生して1年がたった。彼らの会員制交流サイト(SNS)の利用があまりにも自然で、新鮮で、また驚きでもあった日々だった。ファンもいろいろな楽しみを見いだしたのではないだろうか。

 彼らの日々つぶやかれるツイッターでの発言。時にはメンバーに向けて、時にはファンに向けて時間を問わずつぶやく。タイムラインにいきなり現れるその言葉を目にすると、大スターと同じ時間を生きているうれしさを直接に感じる。

 個人的な趣味で申し訳ないが、稲垣吾郎のブログが好きだ。短いセンテンスの中で複雑な韻や陰影をこめて、さらに他者への配慮を忘れない明晰(めいせき)さ。ちょっとおちゃめなところもある。文章は人なり、そしてブログに掲載されている写真も人なり、だ。特に、距離を置いた自撮りや風景写真は絶品である。

 最初のうちは、いくら彼らが大スターとはいえ、SNSでも人気になるとは限らないと、ツイッターのフォロワー数やブログのコメント数、そして3人がレギュラー出演するAbemaTVの番組視聴数など量的なところに関心がいってしまった。だが、そんな心配は杞憂(きゆう)であり、むしろ質を楽しむことが最近の日常になってしまった。

 もちろん稲垣だけではない。草彅のユーチューバーとしての活動も注目だ。最近では、ユーチューバーの祭典『U-FES.2018 プレミアムステージ』にサプライズで登場したことがニュースになった。そこで他のHIKAKIN(ヒカキン)、はじめしゃちょーといった人気ユーチューバーと共演した。まさに「新しい地図」、「新しい世界」を自ら描いている。

 数は気にしない、と書いておきながら何だが、「ユーチューバー 草彅チャンネル」のチャンネル登録数は85万人に達している。ちなみに、これだけほのぼのしたチャンネルは、地上波や商業系のネット番組では絶対にありえないので、未見の人はぜひ、と頼まれてもいないのに宣伝したくなる魅力がある。

 そして芸術的なセンスと、じわりとくる楽しさが持ち味の香取も独自性を行く。インスタグラムに自らの絵を掲載して、そこにツイッターのフォロワーたちが塗り絵を楽しむ。SNSを有機的に利用し、ファンや絵心のある人たちを直接刺激し、交流の輪を広げていく。

 またSNSではないが、コンビニの前を通り過ぎたときに、「あれ? 慎吾ママ?」と思ったが、実は「慎吾母」だったというじんわりくるCMも、彼のキャラクターならではだろう。9月に行われた香取のルーブル美術館での初個展も素晴らしい偉業だ。「NAKAMA des ARTS」と題された個展は、ファンたちとアートを通じてつながりたいと、先ほどの塗り絵をつなぎ合わせた作品が展示された。まさにSNSの有機的結合を絵画として表現している。
2018年9月、パリの展覧会の内覧会で草彅剛(右)、稲垣吾郎(中央)と話す香取慎吾(共同)
2018年9月、パリの展覧会の内覧会で草彅剛(右)、稲垣吾郎(中央)と話す香取慎吾(共同)
 「新しい地図」のSNSの利用は、それぞれの領域で目覚ましい。SMAP時代の「反SNS」とでもいうべき戦略とは一新している。特に、「NAKAMA(「新しい地図」のファンの総称)」との結びつきがさらに深まっているように思える。特徴的なのは、香取の試みにも代表されるように、SNSの世界とリアルの世界を結びつける点だ。