木村 国歌起立斉唱条例については、職員・教員に強制すると、彼ら/彼女らは府民や子どもたちにも強制しようとするおそれがあります。条例に「府民や子どもたちは自由であり、知事や職員・教員は、府民や子どもの自由を最大限尊重しなくてはならない」としっかり明記すべきかと思います。

 軍の議論については、確かに、今の政府の対応を見ていると、仮に日本が軍事力を持ったとして、それをうまくコントロールできるとは、思えません。改憲を主張する側が、やたら好戦的なのも、信頼を失わせますよね。「我々に任せても大丈夫ですよ」と国民の信頼を醸成しなければいけないところで、護憲派を罵倒したりする。

橋下 あんな噓をつく政府やそれを見破れない国会議員に、軍事力は任せられない! 財務省の公文書改ざん問題を見てもさ、国会の答弁で、ああいう噓を組織ぐるみで堂々とつくんだもんね。テレビに映って、全国民が視ている前で、よくやれるよなと思って。

木村 あれだけひどいことをしても、支持率が下がらないというのは、安倍政権への期待がもともと高くないということですよね。あれだけ文書をいい加減に扱ったら、「期待外れだ!」と怒られて当然ですが、もともとが「あんなもんだろう」と思われているので、大きな怒りにならない。行政の公正と透明性について強く期待されていると政府が自負しているなら、あんな対応は怖くてできないでしょう。

橋下 うーん、安倍政権に対する評価はちょっと違うかな(笑)。個別にいろいろ問題があるにせよ、失業率の低下をはじめ、やはり経済指標では好材料が多々あります。うちの娘も速攻で就職が決まっちゃったからね(笑)。政権批評は別の機会に譲るとして、朝日新聞がスクープしなかったら、「関係書類はすべて廃棄しました」で公文書改ざんは闇に葬られて終わっていた。これは安倍政権の大失態、大チョンボだし、それを見破ることのできない与野党国会議員の能力不足です。自民党や維新・国民民主の野党も「軍を持つべきだ!」とか「自国は自分で守る!」とか威勢のいいことばかり言うんだけど、こんな国会議員や日本政府にフリーの軍事力なんて渡すことはできないよね。
自民党総裁選で連続3選を果たした安倍晋三首相=2018年9月、東京都千代田区の自民党本部(桐山弘太撮影)
自民党総裁選で連続3選を果たした安倍晋三首相=2018年9月、東京都千代田区の自民党本部(桐山弘太撮影)
 靖国の問題にしても、政治家は「中国や韓国を気にせず靖国参拝!」と口だけです。僕もぬかっていたんだけど、このあいだ初めて大阪の旧陸軍省真田山墓地を訪れました。アメリカのアーリントン墓地のように兵士を祀っている墓地が全国で80か所ほどあります。でも日本が戦争に負けて、GHQによる軍国主義体制の解体に伴って、旧陸軍省墓地は国からずっと放ったらかしにされてきました。「ああ、この国は戦争で命を落とした方々をこのように粗末に扱う国なんだ。これでは、とてもじゃないが、軍なんか持てないな」と感じました。「英霊に尊崇の念を表せ!」と威勢のいいことを口にする国会議員は、この放ったらかしにされている旧陸軍省墓地をまずなんとかすべきです。自分たちの国を自分たちで守りたいという思いがあるなら、まずはそれを可能とするための国の前提条件を整えなければなりません。