2018年11月23日 18:28 公開

日産自動車は22日、臨時取締役会を開き、金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)容疑で逮捕されたカルロス・ゴーン容疑者(64)の会長職を解任し、代表権を外すことを全会一致で決めた。ゴーン容疑者は20年近く率いてきた日産の指導的地位を失うこととなった。

日産は解任理由を、ゴーン容疑者が報酬の過少申告と日産の投資資金の私的支出を行ったためとしている。

ただ、一部にはこの決定を、自動車大手3社の戦略的提携であるルノー・日産・三菱アライアンスのバランスを是正する日産の試みの一環とする見方もある。ゴーン容疑者はルノーと三菱自動車でも会長を務めており、3社の戦略的提携の設計図を描いた。

取締役会は同じく逮捕されたグレッグ・ケリー代表取締役(62)の解任も決めた。

日産の取締役会は声明で、ゴーン容疑者とケリー容疑者の解任は全会一致だったと発表した。声明は取締役会の使命を「ルノーとの長年のアライアンスパートナーシップは不変であり、日常の協力関係、協業への影響度や動揺を極力少なくしていくこと」とした。

ゴーン容疑者とケリー容疑者は東京で勾留が続いている。

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日産の非難

日産はゴーン容疑者について「重大な不正行為」があったと非難。報酬を過少申告していたほか、会社の資産を私的に支出したとしている。

同社は19日、内部告発に基づき、社内調査を数カ月間にわたり行ってきたと明らかにした。

日産は不正行為に「深く関与」したとしてケリー容疑者も非難している。

日本の検察当局は、両容疑者が2010年、ゴーン容疑者が受け取る報酬の過少申告を共謀し始めたとしている。

ゴーン容疑者は、虚偽記載した有価証券報告書を提出した疑いが持たれており、有罪であれば、懲役10年以下もしくは1000万円以下の罰金、またはその両方が科される可能性がある。

またNHKは関係者の話として、業務上正当な理由がないのに、世界4カ国で会社側に住宅を提供させており、これまでに数十億円が支払われていると報じた。

NHKはさらに、ブラジルやレバノン、フランス、オランダにあるゴーン容疑者の自宅の購入費や改築費用が日産から支払われていたとしている。

ゴーン容疑者はまだ起訴されていない。

今後の動きは

日本の共同通信によると、日産の西川広人最高経営責任者(CEO)が会長職を暫定的に兼務する方向だったが、選定は先送りされた。西川CEOは今週前半、「事態を沈静化させて安定化させ」「日常的な業務運営に影響が出ないように」務めると、従業員と取引先に約束すると語った。

ゴーン元会長の正式な後任選定については、別途委員会を設置すると、日産の取締役会は述べた。

三菱自動車は来週、ゴーン会長の役職について議論する予定。ルノーは20日、ティエリー・ボロレ氏を暫定副CEOとし、ゴーン会長が担っていた業務を引き継がせると発表した。


カルロス・ゴーン容疑者とは

  • ゴーン容疑者の英雄的な立場は大きく、日本ではその半生が漫画化された
  • ブラジル生まれだがレバノンにルーツを持ち、フランス国民。ゴーン容疑者は以前、こうした生い立ちが人とは違うと感じる原因となり、新しい文化を受け入れる助けになったと語っている
  • フランスでは、ルノーの復興で厳しいコスト削減策を遂行し、「コスト・キラー」の名前で知られる
  • レバノンの大統領候補と目されたこともあったが、ゴーン容疑者自身はすでに「たくさんの職務についている」としてこれを否定した
  • 2011年に日本で行われた、首相になってもらいたい人物の世論調査では、9位のバラク・オバマ前米大統領を抑えて7位を獲得した

3社連合は存続するのか

不正行為が発覚したことで、ゴーン元会長が主導してきた自動車大手3社による連合の未来は不透明となった。

ゴーン容疑者は逮捕前、連合の強化を模索していたと英経済紙フィナンシャル・タイムズは報じている。同紙によると、ゴーン容疑者が日産とルノーの合併を計画していたものの、日産側がこの取り決めに反対していたという。しかし情報筋はBBCに対し、新会社1社を設立する完全な企業合併は「一度も選択肢にならなかった」と主張している。

ルノーの自動車販売台数は日産より少ないにも関わらず、ルノーは日産の株式43%を所有し、支配的パートナーになっている。日産はルノーの株式を15%しか所有していない。

日産の西川CEOは21日の取締役会に先立ち、ゴーン容疑者とケリー容疑者の逮捕は、ルノーと日産の提携関係に「影響しない」と主張した。

しかし三菱自動車の益子修CEOは、ゴーン容疑者なしでは連合の舵取りは難しくなるだろうと話している。

(英語記事 Carlos Ghosn: Nissan sacks chairman over cash scandal