北条かや(著述家)

 奨学金の返済に追われる若者が増えている。大学進学率が上昇し、若者の2人に1人が大学へ進むようになった一方、高止まりする学費が家計を圧迫しているからだ。日本の全大学の8割を占める私立では、平均130万円という授業料がのしかかる。さらに、一人暮らしの学生なら、家賃と生活費が年間150万円にもなる。

 4年間で実に1200万円。長引く不況の影響で、この大金を負担できる家庭は減っており、今や2人に1人の学生が奨学金を借りている。

 奨学金のほとんどは、給付型ではなく貸与型だ。つまり、将来何十年にもわたって返済が求められる「借金」である。後で詳述するが、この借金を背負いたくないがためにアルバイトに追われ、中にはキャバクラや風俗などの水商売で働く学生もいる。奨学金を借りていないからといって、経済的に豊かな学生とは限らないのである。

 牧歌的な考えの大人たちは、こう思うかもしれない。「授業料が安い国公立大に自宅から通えばいいじゃないか」と。「奨学金に頼る必要はない、甘えるな」と。

 本当にそうだろうか。まず、前述の通り、日本の大学は圧倒的に私立が多く、国立と公立大の割合はそれぞれ約1割にすぎない。大学生のほとんどが、年間100万円以上の授業料を納める私大生だ。授業料が低い国立大の多くは難易度が高いので、学力が足りなければ公立や私立へ進学するしかない。

 さらに、学力は、幼少期からの塾通いなど多額の教育投資ができる富裕層ほど高くなる。東大生の親は約6割が年収1千万円以上だ。国立教育政策研究所の濱中義隆総括研究官によるデータ解析では、国立大生の親の方が、公立や私立よりも「年収1050万円以上」「850~1050万円」の割合が高いという。皮肉というべきか、授業料の安い国立大に通うためのチケットは、富裕層ほど安く手に入るのだ。
※画像はイメージです(ゲッティイメージズ)
※画像はイメージです(ゲッティイメージズ)
 以上のことから、もはや高い学費を払って国立以外の大学に通う学生は多数派であるといえる。親の収入状況で進学先が左右される以上、借金してまで大学に通う学生を「本人の甘え」とか「努力が足りない」などと非難するのは早計だ。

 ある女子学生は、学費と生活費を補うため、ファストフード店でアルバイトを始めた。時給800円。授業の後に1日3時間働いて週4日、1日2400円、1カ月で4万円にもならず、毎月12万円かかる生活費が払えない。