和田政宗(参院議員)

 NHK職員の不祥事が止まらない。このようなことが続けばNHKは信頼を失い、受信料制度の崩壊ばかりか存続すら危ぶまれる事態になりかねない。

 ここ数カ月だけでも、『おはよう日本』のチーフプロデューサーが盗撮をしたとして、東京都迷惑防止条例違反の疑いで現行犯逮捕されたばかりか、札幌放送局のディレクターがオウム真理教の後継団体「アレフ」について住民にインタビューした音声ファイルを、アレフに誤送信した。そして、11月5日には服務規程違反があったとして佐賀放送局長が更迭された。NHKは「関係者のプライバシーに関わる」として公式に認めてはいないものの、新聞各紙は酔って女性風呂に侵入したと報じている。

 さらに、これも公式には認めていないが、紅白歌合戦の責任者だった制作局部長がセクハラ行為により停職3カ月の懲戒処分となったとも報じられた。こうした不祥事は、各職員の問題ではなく、体質的な問題と考えてよいと私は感じる。

 私はNHKに16年間勤務したが、セクハラ・パワハラについて抜本的な防止策を講じなくてはならないと現職時代にも声を挙げていたし、現在も国会議員として同局の幹部が予算の説明に来るたびに繰り返し抜本的な対策を取るべきだと述べてきた。

 しかしながら、不祥事は頻発しており、しかもそれは氷山の一角なのである。表に出てこないセクハラ、パワハラがさらにあるのだ。

 NHKのセクハラ・パワハラは、職員が契約職員に行うという構図が多い。契約職員は弱い立場に置かれているから泣き寝入りすることも多く、だからこそ根絶しなくてはならない。

 しかしながら、NHKが行う対策は根本的なものとは言えない。「外部通報相談窓口を作ったので大丈夫」と同局幹部は私に説明するが、そういった相談窓口に相談しても、告発した本人が後々、不利になると分かっているから声を挙げられず泣き寝入りしている人たちは多いだろう。それすら幹部は分からないのである。

 告発したり、局内で問題化するとどうなるか。セクハラ・パワハラを起こした職員は一定の処罰が行われるが、配置転換や転勤となるだけだ。一方、こうした行為をされた契約職員は職場にいづらくなり、結局辞めなくてはならなくなる。
(ゲッティイメージズ)
(ゲッティイメージズ)
 根本的な対策は、私が繰り返しNHK幹部に述べてきた通り、セクハラ・パワハラには厳罰をもって対処することだ。「一発アウト」にしないと、いつまでたってもこれらの行為はなくならない。

 そして、パワハラについては、画一的な職員採用にも原因があると考える。NHKの採用試験では民放各局に比べ筆記試験が重視され、成績優秀な人物が採用されやすい。すなわち、取材現場や制作現場で必要な社交性や社会経験など、相対的な能力を持つ人物よりも、勉強ができる人物の方が採用されやすくなっている。これが同局の活力を失わせ、パワハラを生む要因の一つにもなっていると私はみている。

 NHKでは、できない上司ができる部下に嫉妬し嫌がらせをするなどしてパワハラになるという構図がある。能力のある上司が、できない部下に怒るのなら指導の範疇(はんちゅう)かもしれないが、できない上司が自分の型から部下が逸脱することを好まないことを理由に怒るのはパワハラになる。

 これでは、部下も伸びない。NHKは思いのほか官僚組織的体質があり、内部でしか人付き合いをせず外部との交友関係が少ない人物も多い。こうしたことが同局の弾力性をそぎ、パワハラを生み出す職場環境となっているのだ。