NHKは根本からセクハラ・パワハラ対策と職員教育をやり直すべきだと思うし、職員採用の方法についても見直した方が良いと思う。さらに、現在の同局で着目しなくてはならないのは、札幌放送局ディレクターのアレフへの住民インタビュー誤送信をはじめ、ジャーナリズムとしての詰めが完全に甘くなっている点である。

 公平公正、高いジャーナリスト意識を持ってNHK職員は本来行動しなくてはならないはずだが、現在この部分はなおざりになっていると言っても過言ではない。それは、ニュースや番組での記事の書き方、コメントの打ち方のいい加減さに表れている。

 例えば、昨年10月の沖縄での米軍ヘリの不時着に関連した『ニュースウオッチ9』の高江のヘリパッドについてのリポートだ。この中で、高江のヘリパッドは住宅街の「至近距離にある」とのコメントが打たれたが、住宅街からは約1・5キロ離れており、NHKに対して「至近距離の定義は?」と質問したところ、同局は回答することができなかった。

 また、このリポート明けに女性アナウンサーが「ヘリコプターが頭上を飛ぶのは怖い」とコメントしたが、「警察や消防、自衛隊のヘリでもそういうコメントを打つのでしょうか」とNHKに聞いたところ、これも回答不能で明確な答えは得られなかった。つまり、コメントの打ち方が甘すぎるし、何かしらの結論があってそちらに誘導しようとしているのではないかと思われても仕方のない状況である。

 さらに、抗議集会などで「主催者発表〇人」と最近のNHKは多用するが、どうやってもその会場に入れない人数を「主催者発表」として原稿で使った例もある。私が同局の現役時代は、概算人数を自ら数えたり、警備に当たった警察当局の推定人数を参考にして記事を書いていたが、「主催者発表」を鵜呑みにする今の報道姿勢はジャーナリズムの劣化と言える。

 また、番組においても、今年上旬に同局の『あさイチ』で、外国人観光客に対して英語で東京・下町の案内をしている女性ガイドの様子が取り上げられたが、この中で女性ガイドの発言を「日本は東南アジアや韓国、中国を侵攻した」と和訳したテロップが打たれた。
NHK放送センター=東京・渋谷
NHK放送センター=東京・渋谷
 しかし、この女性ガイドは英語で「韓国が侵攻された」とは一言も述べておらず、NHKにおいて何らかの理由で、「韓国」という文言が付け足されたということになる。同局は「単純ミス」と釈明したが、ガイドが言っていない語句をわざわざ入れることは本来あり得ず、ディレクターが意図的に入れた可能性も否定できない。

 もしそうだった場合、意図的改変に対してもチェック機能が働かなくなっているということであり、コメントの打ち方の甘さに加え、かなり深刻な状況になっていると言える。

 NHKの受信制度は高い信頼の下に成り立つはずである。不祥事が相次ぎ、放送内容も公平公正でないなら、受信料徴収の根拠を失う。NHKはもう解体的出直しを考えなくてはならないのではないだろうか。