2018年12月10日 14:46 公開

英国の欧州連合(EU)離脱について途方に暮れている? 理解するにも、どこから手をつけたらいいか分からない? ……という人のために、本当に簡単なブレグジット解説を用意した。


ブレグジットとは?

ブレグジットとは「ブリティッシュ・エグジット(英国の離脱)」を縮めた単語で、英国のEU離脱決定をめぐる議論で使われる。

EUとは?

EUとは、欧州28カ国が相互貿易や人の移動を簡単にするために作った連合のこと(現加盟国の一覧はこちら)。

英国は1973年、EUの前身のEEC(欧州経済共同体)に加盟した。

なぜ英国はEUを離脱?

英国は2016年6月23日に国民投票を実施した。質問内容は「英国がEUを離脱するべきか、残留するべきか」だった。

この結果、離脱が52%、残留が48%の票を獲得し、離脱が決定した。しかしすぐに離脱したわけではなく、実際の離脱予定日は2019年3月29日だ。

これまでの展開は?

国民投票は始まりに過ぎなかった。その後、英国とEU加盟国の間で交渉が行われている。

交渉は主に「離脱協定」をめぐるものだった。これは離脱後に何が起こるかではなく、英国がどのようにEUを離脱するかを決めるもの。

離脱協定では何が決まった?

英国とEUは11月、離脱協定の内容で合意に至った。

主な合意内容は以下の通り。

  • 英国がEUとの関係を絶つための清算金について。およそ390億ポンド(約5兆7000億円)とされる
  • 在EU英国民と在英EU市民への影響について
  • 英国・北アイルランドとアイルランドの国境に物理的な管理体制を敷かないための方法

また英国とEUが通商協定を結ぶとともに、企業に調整期間を与えるため、移行期間が設けられた。

もし離脱協定が施行された場合、移行期間中の2019年3月29日~2020年12月31日は英国とEUの関係に大きな変化はない。

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離脱協定と共に、英国とEUの将来長期的な関係性についての概要を示した「政治宣言」も合意された。

ただ、この政治宣言は今後の交渉に向けた希望をまとめたもので、英国もEUもこれを固持しなければいけないわけではない。

次はどうなる?

EU27カ国の首脳が離脱協定と政治宣言を承認した今、テリーザ・メイ英首相は英下院でこの協定を承認してもらう必要がある。

承認の議決は12月11日に予定されている。

協定はEU域内の立法機関、欧州議会の承認も必要だ。欧州議会には、加盟各国から選出された751人の欧州議会議員が参加している。

欧州議会の採決は年明けになる予定。欧州議員らは自国首脳の意向に合わせ、協定を承認するとみられている。

離脱協定は英下院を通過する?

現時点ではもしかすると……その見込みは薄い。

メイ首相が率いる与党・保守党でも他党でも、メイ政権がEUと交渉した離脱協定を批判する声が強い。首相は、承認に必要な票数を獲得していない。

英議会では、この離脱協定では英国がEUから主導権を取り返せていないなど、さまざまな批判が噴出している。

英議会が離脱協定を拒否したら?

その先は不透明だ。

その場合は基本的に、英国は合意なしでEUを離脱することになる。

しかし英政府は議会に対し、最大21日以内に代替案を提示することができる。

その場合、下院議員たちは新しい政府案に変更を加える権限を有することになる。

となると、合意なしブレグジットや政府による不人気な代替案とは別の展開が、議会主導で実現する可能性もある。

議員たちにとっては、ブレグジットへの別の取り組みを支持する機会にもなる。

いずれにせよ、議会の議決内容を施行するのは政府だ。

2019年3月29日の離脱は絶対?

英国は来年3月29日午後11時(ブリュッセル時間同3月30日午前零時、日本時間同午前8時)にEUを離脱する。メイ内閣はこの離脱日時を昨年、英国法として成立させた。

しかし英議会が離脱協定を拒否した場合、次にどうなるのか断言できない。

2019年3月29日という期限が延長される可能性がある。

EUは、離脱日を延期するには全加盟国28カ国の同意が必要だとしているが、EU法務官のカンポス・サンチェス=ボルドナ氏は先に、英国は他の加盟国の同意なしにブレグジットを取りやめられるとの見解を示している。欧州司法裁判所(ECJ)も10日、法務官の勧告に同意し、英国は一方的にブレグジットを中止してEUに残留できると判断した。

その他の可能性としては、メイ首相が議会承認を得るための機会が、再度与えられるかもしれない。

あるいは、離脱協定を承認するかを問う国民投票を実施するという案も出ている。

合意なしで離脱したらどうなる?

「合意なし」とは、英国が離脱協定の締結に失敗することを指す。

この場合、2019年3月29日以降に予定されている移行期間はなくなり、この日を境に英国では即日、EU法が適用されなくなる。

政府はすでに、この状況に対する計画を立て始めている

これまでに公表された対策ガイドには、ペットのパスポートから電力供給への影響に至るまで、ありとあらゆる問題への対応が含まれる。

野党第一党・労働党のジェレミー・コービン党首は、合意なしブレグジットは「国家災害」になると述べている。

一方、それほどの大惨事にはならないと主張し、EUから「きっぱり離脱」するよう求める議員たちもいる。

他に知っておくべきことは?

ブレグジット議論の中で、英国・北アイルランドは大きな注目を集めた。

英国もEUも、北アイルランドとアイルランドの国境に検問所などを作ることは避けたいとしている。

しかし、英国がEUと通商協定を結ばずにEUを離脱した場合、厳格な国境管理をどのように避けるかが問題となる。

そこで、両者はバックストップ(防御策)を設けることで合意した。バックストップは、厳格な国境管理が起きないようにするためのセーフティーネットのようなものだ。

バックストップが発動した場合、英国内で北アイルランドだけが食品などに関するEU法に従うことになる。

北アイルランドの「バックストップ」は最終手段と位置づけられている。メイ首相は、全てが計画通りに行けばバックストップは決して発動しないと主張している。

(英語記事 Brexit: A really simple guide