2018年12月11日 16:39 公開

ジョナサン・エイモス、BBC科学編集委員、ワシントン

インドネシア・スラウェシ島中部パルで9月28日に発生した津波について、科学者による解明が進んでいる。

津波はマグニチュード(M)7.8の地震の直後に起きた。研究者たちは当時、その規模が想定外だと驚いていた。

そして今、スラウェシの街の前に広がる入り江を調査したところ、海底に大きな沈下が見られることが明らかになった。

これが突然の海水の移動につながり、津波として海岸に衝突したのではないかと見られている。

この災害では2000人以上が命を落とした。複数の研究調査の中間報告がこのほど、米地球物理学連合の秋の大会で発表された。この大会は、地球や宇宙に関する科学者が集まる世界最大の会議だ。

スラウェシ島での地震は、地面が水平方向に動く横ずれ断層運動によって発生した。横ずれ断層運動は通常、大きな津波との関連は指摘されない。

しかし、この地震では大きな津波が発生した。主な津波は2度起き、より大きかった2度目の津波は海岸から400メートルの地点まで到達した。

インドネシア技術評価応用庁(BPPT)のウドレク・アル・ハニフ氏は大会で、地震発生から津波の到達まで3分もかからなかったことから、津波の発生源は街に非常に近いところだったと指摘した。

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アル・ハニフ氏所属の調査チームは、パルのある狭い入り江の水深を測量した地図から、答えを得ようとしている。まだデータを解析している最中だが、この入り江の大半の海底が地震によって陥没した形跡があるという。

海底陥没と北側地殻の急激な動きが合わさり、津波を発生させたのだろうとアル・ハニフ氏はみている。

アル・ハニフ氏はBBCニュースに対し、「地震前後の水深測量データを重ねたとき、入り江のほぼ全ての海底が沈んでいた。このデータからは、北側の動きも観察できる。なので実際、この場所では水平方向と垂直方向の移動があったといえる」と説明した。

この動きだけで津波の規模が説明できるのかどうかは、なお議論の余地がある。

海中で複数の土砂崩れがあったというデータもある。これもまた、津波発生の要因だったかもしれない。

パルから離れた地点では、横ずれ断層に色々な亀裂が入っている。この衝上(しょうじょう)断層も、別の可能性として浮上している。両方の亀裂が同時に動いた際に、間の地殻が圧縮されたのかもしれない。

ノルウェー地盤工学研究所のフィン・ロヴホルト氏は「極めてまれな現象だが、地殻変動の観点では、また起こりうる可能性がある」と話した。

「実際のところ、こうした現象がパルで起きたのは初めてではない。多くの犠牲者を出した津波としては3回目か4回目だろう。1960年代と1920年代にこうした記録がある」

パルでは、津波と地震を意味する独特の単語が残っている。これも、繰り返し津波を経験してきた歴史の証拠だ。

9月の地震と津波によって、パル各地で液状化現象が起こった。街の地面が破壊され、液状化し、低地へと流れていった。

家屋は泥の中に埋まった。地元の人々はこれを、黒に埋められるという意味の「ナロド」と呼んでいる。

米ジョージア工科大学のハーマン・フリッツ氏は、パルの被災は津波被災地の住民がどのような困難に直面するかを物語っていると指摘する。「津波はあっという間に到来した。数分の間に」。

「つまり、警告する暇もない。(2011年の)日本での津波では、最初に犠牲者が出るまでに30分以上の時間があった。大違いだ。こういう津波では、住民は自主的に避難しなくてはならない」

BPPTのウィジョ・コンコ氏は、2012年にパルで行われた避難訓練を批判した。

「訓練では5~10分の間に高いところへ移動するよう言われていた。津波はそれよりもっともっと早く来ることがあると、住民は学ぶ必要がある」

(英語記事 Palu tsunami clue found on seafloor