2018年12月12日 14:39 公開

英与党・保守党の欧州連合(EU)離脱派議員は、テリーザ・メイ首相に対する党首不信任案投票を行うために必要な支持が、十分集まっていると自信を持ち始めている。

保守党では、党の1922年委員会の委員長に首相不信任の書簡を提出し、これが48通に達すると、保守党議員による不信任案投票が行われる。

正式な発表はないものの、閣僚を含むいくつかの情報筋によると、すでに48通の書簡が委員長の元に届けられたという。

またBBCは、書簡を受け取る保守党・1922年委員会の委員長を務めるサー・グレアム・ブレイディーが12日にもメイ首相と会談する予定との情報を得た。

ブレイディー委員長はこれについてコメントを控えている。

一方で英首相官邸の関係者は、差し迫った動きはなく、ブレイディー委員長の連絡はないと話している。

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メイ首相に対する与党内でのこうした動きは、首相がEUとまとめたブレグジット(イギリスのEU離脱)の離脱協定が、英国を長期的にEUと結び付けてしまうという不満からきている。

この離脱協定は、2016年のブレグジット国民投票でEU残留を支持した保守党員にも不評だ。

メイ首相は10日、11日に行われる予定だった離脱協定をめぐる下院採決を先送りした。

BBCのローラ・クンスバーグ政治編集長はツイッターで、「ええ、ええ、分かってます。前もこうだった。保守党幹部たちは、目標達成にますます自信がある様子。さらにEU残留派の議員が、クリスマス前に(離脱協定をめぐる下院での)採決が行われなかったら自分たちも書簡を提出すると言っている」と伝えた。

https://twitter.com/bbclaurak/status/1072567667100389386

これとは別に、野党議員たちは最大野党・労働党のジェレミー・コービン党首に首相不信任案の提出を求めているが、コービン党首は今のところそれを拒否している。

メイ首相は11日、英下院で与野党やEU離脱派および残留派を問わずに反対されている離脱協定を何らかの形で維持しようと、ハーグとベルリン、ブリュッセルでEU加盟国の首脳と会談した。

保守党議員の主張は?

これまでに保守党議員27人が、メイ党首について不信任投票を求める書簡を送付したと明らかにしているが、人数は増えているとの憶測が流れている。

書簡を提出したオーウェン・パターソン議員は、メイ首相が合意なしブレグジットの準備に失敗し、閣僚の支持を強要し、「力不足で首相にふさわしくない」、まるで懇願するような態度で交渉に臨んだと批判した。

英紙デイリー・テレグラフに掲載されたパターソン議員の公開書簡には、「こうしたあやまちによって、私や他の大勢はもはや、首相の言葉を信じられない。そこまで政府の信頼は失墜した」と書れている。

「メイ首相は繰り返し『合意なしブレグジットは悪い協定よりましだ』と言っていたが、彼女がどんな犠牲を払ってでも合意したいのは明らかだ」

一方、メイ首相を支持するデイミアン・グリーン議員はBBC番組「ニュースナイト」で、「もしそれだけの議員たちが手紙を提出しているなら(中略)それはとてつもないわがままだ」と指摘した。

「政界の外にいる人たちは、『この国の過去50年間で最も重要な決定のひとつについて、首相は本当に大変な交渉を担っている』と思っているはずだ。この段階で首相の立場を弱めるのは、私には全く間違ったことに思える」

メイ首相の主張は?

メイ首相は11日夜、不信任投票を求める書簡が48通集まったという報告を受けたかという質問に対し、「いいえ、私はここ欧州にいて、議会に約束したように問題に取り組んでいます」と答えた。

首相は12日には、毎週定例の閣議と議会での首相代表質問(PMQ)を行った後、アイルランドの首都ダブリンへ向かう予定。

翌13日には欧州首脳会議に出席し、英下院で離脱協定を承認させるための変更を要請するとみられている。

メイ首相は11日、英議員が反対しているアイルランドと英国・北アイルランドの国境問題について、EU各首脳の間に「共通の決意」があると話した。

欧州の首脳らは、保守党議員らが求めている離脱協定の再交渉を行う予定はないとする一方、その方向性について明らかにする用意はあるとしている。

不信任投票の流れは?

党首不信任決議を求める書簡が48通以上集まった場合、いつ不信任投票が行われるかは明らかではない。グレアム委員長は先に、必要数が集まれば不当に投票を遅らせることはしないと話していた。

BBCのクンスバーグ政治編集長は、17日に行われる可能性があると指摘している。

不信任投票が始まった場合、保守党所属の議員315人は秘密投票で信任か不信任かを問われる。

メイ首相は158人以上の支持を得れば勝利し、党首および首相の地位を維持するほか、向こう1年は不信任案が提出されることはない。

一方、過半数の議員がメイ首相を支持しなかった場合は、メイ氏は保守党党首から解任され、首相職からも辞任するとみられている。

その後、数週間をかけて次期党首が選出される。

メイ首相は政治的な窮地に立たされていることから、100人以上の議員が不信任を表明した場合、メイ首相の立場が危うくなるだろうと指摘する声もある。


<分析>今度ばかりは違う気がする ――ローラ・クンスバーグ、BBC

ええ、ええ、分かっています。前もこうだった。

しかし、EU懐疑派の主要議員たちはますますもって、メイ首相への不信任投票を行うのに十分な支持を得たと自信を持っている。とはいえ、不信任投票がただちに行われるわけではない。

懐疑派議員たちが前回同じことを公言していた時は、その自信は蜃気楼(しんきろう)に過ぎず、十分な支持も集まらなかった。

熱烈なEU離脱派の間のやりとりは誠実なものではなかった。その残念な事実が、その際に明らかになった。不信任の書簡を提出したと同僚議員に告げた人たちは、書簡などまったく出していなかったのだ。

しかし、今回は以前とは違うように感じる。この不信任案を非常に真面目に考えている人たち、前回その希望を打ち砕かれた人たちは、今度こそ成功したかもしれないと内々に話し合っている。必ずしも成功を喜んではいないが。

そしてたとえ今晩の時点で、書簡の数が48通に達していなかったとしても、参加する議員はほかにもいると、与党のEU離脱派は期待している。

(英語記事 Pressure mounting on May from Tory MPs