2018年12月13日 14:06 公開

11日に仏東部ストラスブールで起きた銃撃事件をめぐり、フランスの警察は12日、逃走中の容疑者の写真を公開し、広く情報提供を呼びかけた。

シェリフ・シェカット容疑者(29)の捜索には、仏独国境を挟んで警官や兵士、国境警備隊が数百人体制で当たっている。

銃撃は、ストラスブール中心部のクレベール広場近くで開かれていたクリスマス・マーケット付近で発生。2人が死亡、13人が負傷した。

シカット容疑者はアラビア語で「アッラーフ・アクバル(神は偉大なり)」と叫び、銃を乱射したという。

シカット容疑者は、治安当局の監視対象になっていた。窃盗などの罪で服役中にイスラム過激派になったという。

警察は市民に、たとえ「危険な」容疑者を見かけても近付かず、通報してほしいと呼びかけている。

パリのアンヌ・イダルゴ市長はツイッターで、は13日午前0時に事件の犠牲者を追悼してエッフェル塔を消灯すると明らかにした。

捜索の進捗(しんちょく)は?

クリストフ・カスタネール内相は議会に対し、700人以上の警官やその他の治安維持部隊が容疑者を捜索中だと説明した。シカット容疑者は銃撃開始後、クリスマス・マーケットを警備していた兵士と撃ち合いとなり、負傷している。

また、ローラン・ヌネズ内務次官が、同容疑者がすでにフランスにはいないかもしれないと述べた後、ドイツの警察もストラスブール近郊の国境で捜索を開始した。

国境警備隊も、国境となっているライン川を渡る車両を検問しており、独仏間をわたる道路は双方向で長い渋滞が発生している。

カスタネール内相は、フランス国内の警戒レベルを最高レベルに引き上げるとともに、警察の権力を拡大し、警戒を強めると話した。さらに、各地のクリスマス・マーケットでの警備体制を強化すると述べた。

ストラスブールのロラン・リース市長は、現場付近のクリスマス・マーケットを13日まで閉鎖し、市庁舎の国旗を半旗にすると発表した。

事件のあらましは?

銃撃は現地時間11日午後8時(日本時間12日午前4時)ごろ、ストラスブール中心部のクリスマス・マーケット付近で起きた。ストラスブールのクリスマス・マーケットは人気の高い催しで、今年は数千人の観光客が訪れていた。

フランスのレミー・エツ対テロ検察官によると、この銃撃で2人が死亡したほか、1人が脳死状態となった。また12人の負傷者のうち、6人が重傷を負っている。

シェカット容疑者は銃とナイフで武装しており、タクシーに乗り込んで逃走した。逃走する直前に4人の兵士と銃撃戦になり、その際に腕にけがを負った。

シェカット容疑者はタクシー運転手に、10人を殺したこと、兵士との銃撃戦で負傷したことを自慢げに話したという。

容疑者は、ヌドフ地区の警察署の近くでタクシーを降りた。

容疑者はタクシーを降りた際も警察官に発砲し、そのまま逃走した。

エツ検察官は、シェカット容疑者と関係のある人物4人を、その夜のうちにストラスブールで逮捕したことを明らかにした。ロイター通信は捜査筋情報として、逮捕されたのは容疑者の父母と2人の兄弟だと伝えている。

シカット容疑者とは

警察によると、シェカット容疑者はストラスブール生まれで、治安維持当局にはイスラム過激派のテロリストになる可能性がある人物として知られていた。

シェカット容疑者は、国家安全保障上の監視対象者リスト「フィシュS」に、名前が載っていた。

また、フランスやドイツ、スイスで窃盗を含む27の罪で有罪となっており、長年にわたり服役生活を送っていた。

警察は事件のあった11日の朝に、別の事件をめぐってシカット容疑者を探していたが、自宅にはいなかった。

ヌードルフの自宅からは手りゅう弾やライフル、狩猟ナイフ2本を含むナイフ4本と、弾丸が発見されている。

被害者は?

亡くなったうちの1人はタイからの観光客アヌポン・スエブサマルンさん(45)で、タイのメディアによって名前が特定された。妻と共に休暇でストラスブールを訪れていたという。

またイタリアの外務省は、欧州議会を取材していたイタリア人のジャーナリストがこの事件で負傷したと発表したが、重体だという報道についてはコメントしなかった。

これに加え、容疑者との銃撃戦で、兵士1人が軽傷を負っている。

なぜストラスブールが標的に?

ストラスブールはこれまでにも、イスラム教のジハーディスト(聖戦主義者)によってテロ計画の標的にされてきた。

ストラスブールでは、フランス最古のクリスマス・マーケットが開かれるだけでなく、欧州議会のお膝元でもある。事件当夜も、ストラスブールでは議会が開かれていた。

2000年には、ストラスブールのクリスマス・マーケットが国際テロ組織アルカイダのテロ計画の標的となった。テロは未然に防がれ、4年後にイスラム過激派10人が有罪となって服役した。

欧州議会は、事件の翌日も通常通り開会することを決めた。ドイツのヨー・ライネン議員は、議場内でクリスマスの催し物が行われている様子をツイッターに投稿した。

「ストラスブールにて。中心部でのテロにも関わらず、欧州議会ではクリスマスの装飾と歌声がある」と、ライネン議員はコメントを添えた。

https://twitter.com/jo_leinen/status/1072802574506618880



<分析>疲れ果てて意気消沈――デイミアン・グラマティカス、ストラスブール

ストラスブールの有名なクリスマス・マーケットは、今や沈みこんでいる。

立ち並ぶ木造の店は全て閉まっている。店主の1人は、銃声が聞こえたので逃げるしかなく、地元のバーに隠れたと話してくれた。

「皆が震え上がっている」

クリスマスを目前にしたこの時期、クリスマス・マーケットは世界各地から来た人々が観光し、ソーセージからお土産までを買い求める場所のはずだ。しかし今のここは、疲れ果てて意気消沈している。閉鎖された路地では、警官が警備に当たっている。

犯人が無差別に発砲していたのを見ていたという目撃者は、「皆が叫んでいた。皆が走って、走って、怖がっていた」と話した。

ストラスブールは以前にも、テロ未遂の標的になったことがある。しかし今回は、それが現実となった。地元の人々は傷つき、怒っている。「これは恥ずべきことだ」と。


(英語記事 Police appeal over Strasbourg suspect