2018年12月14日 12:22 公開

日本の名作アニメ「となりのトトロ」が14日、日本での初公開から30年を経て中国で初上映された。

2人の姉妹がトトロなどの森の生き物と出会うストーリーを描いたこの作品は、スタジオジブリと有名な宮崎駿監督が手掛けたもの。

「となりのトトロ」はカルト的な人気を誇る作品にも関わらず、中国ではこれまで上映されていなかった。また、中国は外国映画の上映本数に厳しい制限をかけており、ジブリ作品が公開されるのは今回が初めて。

しかし、多くの中国人はDVDや違法ダウンロードなどで、子どもの頃に視聴しているという。

中国には公開する外国映画について厳しい本数制限があり、これまでジブリ映画も公開されたことがなかった。

アメリカ・南カリフォルニア大学東アジア研究センターのスタンリー・ローゼン所長はBBCに対し、中国での日本映画公開は、日中両国の政治的関係の状態に左右されることが多いと説明。「中国では、映画は常に政治の二の次になる」と述べた。

「両国の関係は現在かなり改善しており、アニメを含め、映画を日中で共同制作する動きが多くみられる」

中国では、日本に対する戦時中の歴史から長く尾を引く憤りが残っている。日本は1931年に中国の一部を占領し、1945年の終戦までに何百万人もの中国人が殺された。

「となりのトトロ」の宮崎監督は戦時中の日本による侵略を公に批判しており、そのことが中国メディアからも好意的に見られてきたと、ローゼン氏は話している。

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中国で幼少期を懐かしむファンたちはソーシャルメディアで、長い間待っていた同作品の公開を喜んだ。

中国のSNS「微博(ウェイボー)」では、「待てない」というファンの声がみられた。

「むかしDVDで見ていた。懐かしい気持ちになっている」

また、中国版のポスターも発表された。

https://twitter.com/donguritaishi/status/1068042807846174720

このポスターを見た別の微博ユーザーは、「たくさんの感情が流れ込んできて、急に子どもに戻ったみたい」と投稿している。

娘を連れて映画館に「となりのトトロ」を見に行くつもりだというユーザーもいた。

カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)演劇・映画・テレビ学部のチャールズ・ソロモン講師はBBCに対し、ジブリ映画は中国でもすでに「世界中で有名なのと同じ理由で」有名だと説明する。

「登場人物は深みがあり、複雑だ。キャラクターそれぞれに対して、彼らを知っていて理解できると感じられる。ファンはそれに応えている」

批評家からの評価も高い「となりのトトロ」は、日本で最も愛されている子ども向け映画のひとつ。

日本では1988年に公開されたこの作品に「ふしぎの国のアリス」との類似点を指摘する声もあるが、着想は宮崎監督の幼少期の体験からだったといわれている。

物語の主人公であるさつきとメイは、入院している母親の元を訪ねる。これは宮崎氏が子どものころ、自身の母親が重い結核性脊椎炎(脊椎カリエス)から快復していくのを見守っていたことと重なる。

「となりのトトロ」はまた、悪役や戦闘シーンのない「無垢さ」や、自然を賛美する気持ちを強調している手描きの牧歌的な田舎の風景でも評価が高い。


スタジオジブリ:ディズニーに対する日本の答え

  • 伝説的なアニメーター宮崎駿監督が率いるスタジオジブリは、米ウォルト・ディズニーに対する日本の答えと呼ばれる
  • 一方で、反戦や環境保護といったメッセージ、力強い女性を主人公にするなど、さまざまな点で完全なオリジナル作品を生み出していることを証明している
  • 2001年に公開された「千と千尋の神隠し」は、ジブリ作品で歴代最高の興行収入を記録した
  • 「千と千尋の神隠し」は、非英語圏の手描きアニメ作品で初めて(そして今のところ唯一)アカデミー賞を獲得した
  • 東京にある三鷹市立アニメーション美術館(三鷹の森ジブリ美術館)に加え、2022年にはトトロなどの作品を題材にしたテーマパークを名古屋に開設する予定

(英語記事 Totoro hits Chinese cinema 30 years late