田中秀臣(上武大学ビジネス情報学部教授)

 2018年も相変わらず国会で大きな話題になったのが学校法人「森友学園」「加計(かけ)学園」、いわゆるモリカケ問題だった。しかもまだ「過去形」ではない。いまだに野党やマスコミはやる気満々である。

 事実、12月8日に安倍晋三首相に対する問責決議案の趣旨説明で、立憲民主党の蓮舫副代表が「森友学園問題は終わってない」と発言している。森友問題について、蓮舫氏は「9億円が1億円に大幅値引きされていた問題」として捉えている。要するに、この国有地の大幅値引きに、安倍首相や昭恵夫人が関与したかどうかという、いつもの話題である。

 同様に、加計学園問題についても、加計孝太郎理事長が首相の友人なので優遇があったかどうかを追及している。これまたいつもの切り口である。本当に全く進歩がない人たちである。

 加計問題については、この連載でも、獣医師会や文部科学省といった既得権組織が「市場からの排除」をもたらしている問題だとして、経済学的な観点から整理した。今回は森友問題について、同様に経済学的視点からまとめてみたい。

 森友問題は財務省、そして近畿財務局が土地利用について、効率化政策よりも特定の団体、つまり森友学園の「経済厚生(経済的な満足度)」を増加させようとしたために、むしろ土地利用の効率化が滞った事例だと考えられる。近畿財務局は、当初から公有地を入札方式で売却すればよかった。入札は価格競争を促すメカニズムの一つなので、効率化政策として考えることができる。

2018年12月、参院本会議で、
安倍晋三首相(左奥)への問責決議案の
趣旨説明を行う立憲民主党の蓮舫副代表兼参院幹事長(春名中撮影)
 だが、実際に近畿財務局が採用したのは直接交渉であり、しかも「事務的なミス」をきっかけに、森友側の厚生水準を向上させる政策を採用してしまった。その結果、森友側の厚生は一時的に増加した(長期的には厚生損失)。だが、他方で土地利用という観点では、効率化が著しく阻害され、結果として、国有地が現段階「塩漬け」のような状況に陥っている。

 経済政策の基本は効率化政策である。これは、規制緩和や取引ルールの設定などで市場競争を確立することで、資源配分を効率化することである。

 一定の労働や資本などを利用することで、私たちが日常的に消費・生産する財やサービスの範囲を、最大までに拡大していく。また、一分野だけではなく、多様な領域で効率化政策を推し進めていけば、長期的にはその国民の厚生全体も改善していく。これは、経済学的には古典的な政策観で、「ヒックスの楽観主義」という。