2018年12月18日 14:03 公開

ドナルド・トランプ米大統領が、選挙資金法違反などで有罪となった元顧問弁護士について、「『チクリ』になった」とツイートしたことを受け、野党・民主党の上院議員は17日、「合衆国大統領よりはマフィアのボスだ」と非難した。

長年の顧問弁護士だったマイケル・コーエン被告が、ロバート・ムラー特別検察官や連邦捜査局(FBI)、ニューヨーク連邦検察などの捜査に協力し、有罪を認め、かつ自分の違法行為の原因はトランプ氏だと供述したことについて、トランプ氏は16日のツイートで、「いいか、マイケル・コーエンが『チクリ(rat)』になったのは、この魔女狩りが始まるまではまったく考えられない前代未聞だった真似をFBIがしたからだ。あいつらは弁護士の事務所に押し入ったんだ! どうしてサーバーを入手するためDNC(民主党本部)や悪党の事務所に押し入らなかったんだ!」と書いた(太文字は原文では大文字強調)。トランプ氏はかねてからヒラリー・クリントン氏を「悪党ヒラリー(Crooked Hillary)」と呼んでいる。

https://twitter.com/realDonaldTrump/status/1074313153679450113


これに対して民主党のクリス・クーンズ上院議員は米CNNに、捜査員がコーエン弁護士の事務所に「押し入った」という発想自体、「この国の法体系の基礎に真っ向から対立するものだ」と非難した。

捜査員はあくまでも「裁判官が認めた家宅捜索令状を執行していた」のだと議員は強調し、「マイケル・コーエンについて『チクリ』という表現を使い、顧問弁護士事務所に捜査当局が押し入ったと誤った主張をするなど、合衆国大統領というよりはまるでマフィアのボスのようだ」と述べた。

FBIは今年4月、ムラー特別検察官の依頼を受けてコーエン弁護士の事務所を家宅捜索した。コーエン被告は今月12日、トランプ氏と不倫関係にあったとされる女性に2016年大統領選の渦中で口止め料を払ったことや、大統領選中にトランプ氏の会社がモスクワで交渉していた高層ビル建設計画について連邦議会に偽証したことなどについて、禁錮3年の実刑判決を受けた。自分の違法行動の一部は、トランプ氏の「汚い真似」が原因だったと供述していた。


トランプ氏はかねてからFBIが偏向していると批判し、昨年5月に解任したジェイムズ・コーミー前FBI長官と対立してきた。トランプ氏はコーミー氏を「うそつきコーミー」と繰り返し中傷し、コーミー氏は回顧録でトランプ氏をマフィアのボスのようだと書いた。

今回のトランプ氏のツイートについてコーミー氏は16日、「これが、この国の大統領の言葉だ。連邦判事が発行した捜索令状の合法的な執行について、うそをついている。この時点でFBIと法の支配と真実のために声を上げない共和党員は、恥を知るべきだ」とツイートした。

https://twitter.com/Comey/status/1074354274010832896


コーミー氏は17日、連邦議会議事堂で報道陣の質問を受け、あらためてFBIを擁護し、トランプ氏がFBIと「法の支配」を攻撃しているのは「悲劇だ」と話した。

「合衆国大統領は、捜査に協力した人物を『チクリ』と呼び、法の支配を傷つけている」と、コーミー氏は述べた。

「これは共和党か民主党かの問題ではなく、アメリカ人とはどういうものかという話だ。誰かがFBIや法の支配のため立ち上がり、発言しなくてはならない」

保守系フォックス・ニュースに出演することの多いアンドリュー・マカーシー元司法次官補は、「チクリ(rat)」という表現は自分のためにも避けたほうが良いとトランプ氏に助言した。

「大統領、マフィア用語の『rat』は、有罪につながる決定的な情報を検事に提供する証人を意味します。別の言葉の方が良いのでは? 弁護士事務所の捜索はごく普通のことで、司法省は決まった手続きを用意しているほどです。この場合は、実刑に値するとあなたが言った犯罪の証拠が、家宅捜索で得られました。(その表現は)やめるべきです」と、マカーシー氏はツイートした。

https://twitter.com/AndrewCMcCarthy/status/1074360328039878657


トランプ氏は今年夏にも、元選対本部長のポール・マナフォート被告(選挙とは無関係の脱税罪などで有罪)について、取り調べを受けても「吐かなかった」、「司法取引のため、デタラメをでっちあげなかった」などと発言。これについても、「マフィアのボス」のようだと批判の声が上がった。

(英語記事 Democrat Chris Coons: Trump sounds 'like a mob boss'