それに加え、日米中露との外交関係も打開できていない。平壌では、金委員長が18年10月にロシアを訪問して朝露首脳会談を行い、中国の習近平主席の北朝鮮年内訪問で中朝首脳会談が実現し、その後に米朝首脳会談だとの見通しが語られていた。ところが、三つの首脳会談は全て実現しなかった。どの首脳も金委員長を相手にしてくれないのだ。

 トランプ大統領は、既に北朝鮮への関心を無くしている。2019年、米国の関心は一気に次期大統領選挙へと向かう。非核化に応じない北朝鮮を相手にする余裕はない。

 一方、韓国では年末に入って「金委員長の韓国訪問」の噂が意図的に流された。支持率低下が止まらない文陣営が、支持率アップを狙った「世論操作」だろう。韓国の歴代政権で、50%以下の支持率に低下した後に回復した例はない。1年後の2019年末には30%台まで落ち込むと、ソウルの政界ではもっぱらの噂だ。

 文大統領は、金委員長の訪韓に期待をかけているようだが、来るわけがない。訪韓のためには、南北鉄道の開通や開城(ケソン)工業団地の再開など、国連の経済制裁解除や緩和が必要だが、米国は決して認めないだろう。

 また、仮に訪韓が発表されても、韓国内で大反対運動が起こり、金委員長の写真や北朝鮮国旗が焼かれるのは避けられない。金日成(キム・イルソン)主席や金総書記の写真も踏みつけられるだろう。そうなれば、金委員長の訪韓は中止される。北朝鮮国内でも、側近が「訪韓すれば暗殺されます」と忠義顔をして反対する。

 文大統領が期待する支持率回復の夢は幻でしかない。2019年からは与党や左翼勢力の中で、次期大統領候補を巡る政争がさらに激化するからだ。
2018年9月、白頭山(ペクトゥサン)のカルデラ湖「天池」で、つないだ手を上げる北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(中央左)と韓国の文在寅大統領(同右、平壌写真共同取材団)
2018年9月、白頭山(ペクトゥサン)のカルデラ湖「天池」で、つないだ手を上げる北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(中央左)と韓国の文在寅大統領(同右、平壌写真共同取材団)
 既にソウルの政界では、朴元淳(パク・ウォンスン)ソウル市長のスキャンダルの噂や逮捕の見通しが語られている。次の大統領を狙う任鍾晳(イム・ジョンソク)大統領秘書室長と朴市長の対立はソウルでは常識だ。

 2019年の韓国では、左翼政権内の政争やスキャンダルが噴出し、文政権の支持率も低下、左翼政権への失望が高まるだろう。南北朝鮮ともに激動の年になるのは間違いない。