小黒一正(法政大経済学部教授)

 平成最後の予算が固まった。国の2019年度当初予算(一般会計の歳出総額)は約101兆円となり、過去最大であった18年度の約97兆円(当初予算)を4兆円も上回ることになった。4兆円も膨らむ大きな理由は、増税や景気対策だ。

 もっとも、増税の実現可能性については心配する声もある。消費税率は当初、15年10月に10%に引き上げる予定であったが、これまで、安倍晋三首相は増税を2度も延期したため、本当に今回は増税するか否かについて、疑心暗鬼を生じる国民も一定数いるためだ。

 しかしながら、今回の予算編成では、19年10月の増税を前提として、官邸主導の下、増税ショックを緩和するという「名目」で矢継ぎ早に対策が決定する展開となった。政府が決定した対策を列挙しておこう。

 まず、「社会保障の充実」として、①全ての3~5歳児の幼稚園・保育所・認定こども園の費用を無償化、②0~2歳児の住民税非課税世帯を対象に幼児教育を無償化、③低年金の高齢者に年金生活者支援給付金を支給する。

 また、「低所得者支援」として、④酒類、外食を除く飲食料品と定期購読契約の新聞には税率を8%に据え置く軽減税率を適用、⑤低所得者や0~2歳児の子育て世帯に一定期間使えるプレミアム付き商品券を発行、⑥プレミアム付き商品券は市区町村が発行、プレミアム分は国が財政支援する。

 さらに、「駆け込み需要や反動減の平準化」や「中小・小規模事業者への対策」として、⑦住宅の購入や自動車の保有等につき住宅ローン減税の延長など一定の税制措置を行う、⑧すまい給付金の給付額を最大30万円から50万円に引き上げる、⑨省エネ性・耐震性・バリアフリー性能を満たす住宅の新築・リフォームにポイントを付与、⑩増税前後に事業者が柔軟な価格設定をできるようにガイドラインを整備、⑪中小・小規模の小売店でキャッシュレス(非現金)決済により買い物をした消費者にポイントを還元、⑫マイナンバーカード取得者に一定額のポイントを付与する。
2018年12月、職員の激励に回る麻生財務相(手前)=東京・霞が関の財務省
2018年12月、職員の激励に回る麻生財務相(手前)=東京・霞が関の財務省
 最後に、「防災や減災、国土強靱(きょうじん)化」として、⑬「3カ年緊急対策」を18年度第2次補正や19年度・20年度当初の各予算で実施するというものだ。

 このうち①・②・④は、17年9月の臨時国会冒頭の記者会見で、安倍首相が衆院解散を表明しつつ、正式に提案した対策である。「社会保障と税の一体改革」における当初計画では、消費税率10%引き上げに伴う税収増約5・6兆円のうち、4兆円程度を財政赤字の削減に充当する予定であった。