ポイント還元の期間は、「1年」から「増税実施から2020年夏の東京五輪前の9カ月」に短縮されているが、これは増税ショックを増幅するリスクがある。その理由は以下の通りだ。

 まず、キャッシュレス決済の対象につき、ポイント還元をする前の消費税率の推移は、図表の実線の通り、19年10月以前は8%、それ以降は10%であった。また、当初のプランは、19年10月から1年間という期限で、増税分2%のポイント還元を行うというもので、消費税率の推移は、図表の点線の通り、20年10月以前は8%、それ以降は10%になる。
(筆者作成)
(筆者作成)
 他方、最新のプランは、19年10月から20年夏の東京五輪前の9カ月間という期限で、5%のポイント還元を行うというもので、消費税率の推移は、図表の太線の通り、19年10月以前は8%、19年10月から20年夏までの9カ月間は5%、20年夏以降は10%になる。

 図表から一目瞭然だが、当初のプラン(点線)は、キャッシュレス決済につき、増税(消費税率8%→10%)の時期を19年10月から20年10月に延期する政策と理論的に同等だ。また、最新プラン(太線)は、19年10月から20年夏までの9カ月間、一時的に減税(消費税率8%→5%)を行い、20年夏から増税(消費税率5%→10%)を行う政策と理論的に同等である。

 すなわち、実線や点線の増税幅は2%だが、最新プランでは、一時的な減税によって増税幅が2%から5%に上昇しており、増税の反動減を増幅するリスクがある。日本経済では、過去に5%も消費税率を引き上げた経験はない。これでは、増税の反動減対策が切れたときのために、その反動減対策が必要になるという本末転倒なものに陥る可能性が高く、ポイント還元の幅を見直す必要があろう。19年10月以降、ポイント還元の幅(5%)を2カ月ごとに1%ずつ縮小し、10カ月間でゼロにする政策に変更してはどうだろう。

 なお、ポイント還元は比較的その恩恵が中高所得階層に集中するため、公平性を損なうという指摘も多いが、それは対象をクレジットカード決済のみに限定する場合であり、電子マネーやQR決済も対象とするならば、Suica(スイカ)やスマートフォンの保有率をみても、低所得層なども一定の恩恵を受けられる可能性がある。

 ところで、①から⑬の対策のうち、ポイント還元などは一時的な税収減で済むが、中長期的な観点で財政再建に最も深刻な影響を及ぼすのは、④(軽減税率の導入)だ。これまで、政府や財務省は、社会保障の安定財源として消費税を念頭に置き、財政再建を進めてきたが、軽減税率を導入する場合、もはや消費税のみで社会保障費の伸びを賄うのは不可能となる。

 筆者の試算では、消費税率を10%に引き上げても、財政の安定化には、消費税率を最終的に30%程度まで引き上げる必要性がある。だが、これは軽減税率を導入しないケースでの簡易試算で、19年10月の増税で軽減税率を導入すると約1兆円の税収が失われるため、その場合、最終的な消費税率は35%を超えてしまう。

 このため、軽減税率は取りやめ、低所得者対策は給付付き税額控除で対応することが望ましい。だが、軽減税率を残すならば、資産課税の強化といった新たな財源を含め、消費税10%以後の社会保障や税制のあり方について、今から早急な検討が必要となろう。