無責任なヤジ馬の声はさておき、後輩が行儀の悪いことをしでかしたとなると、お笑い界の先輩たちとしては黙っているわけにはいきません。上沼とともに審査員を務めたオール巨人は、ブログで「つまらん本当に情けない話が」「しっかりした大人に成れって伝えました!」と、名前はあげないもののふたりに厳しく説教したことを匂わせました。

 博多大吉もラジオ番組の中で「またバカ後輩たちがやらかした」「僕史上、最大級の雷を落としますよ、あのふたりには」と宣言。司会の今田耕司も事務所の先輩として上沼に謝罪するなど、たくさんの先輩芸人がふたりへの怒りを表明しています。

 先輩たちがこうして「ケシカラン」と声を上げているのは、もしかしたらふたりを助けるためかもしれません。大御所や先輩芸人があっちでもこっちでも怒っている様子を見て、外野は「あれだけ叱られたら、本人たちはさぞつらいだろう」と感じます。「とんでもないことを言ったけど、十分に罰は受けた」という印象を受けるかもしれません。

 そう、怒っている先輩芸人たちは阿吽の呼吸のチームワークで、マヌケな後輩芸人へのバッシングを鎮めて、世間が何となく許す雰囲気を作ろうとしている可能性があります。いや、そういう深慮遠謀があって怒っているのか、芸人としてのカンで後輩を守る発言をしているのか、あるいは単に本気で怒っているのか、そこはわかりませんけど。

 この手法は一般の会社でも使えます。部下が大きなミスをしでかしたら、お客や取引先、あるいは会社の上層部に対して、「あいつのバカさ加減ときたら!」「自分がしっかり締めておきます!」と怒りを込めて言い放ちましょう。そうすることで相手は「まあまあ、あまり叱らなくていいよ」と言いたくなる違いありません。人間は自分より激しく怒っている人がいると、なだめ役に回る習性があります。

 なんて言いながら、この騒動もあっという間に忘れ去られるでしょう。そして、やらかしてしまった「とろサーモン」久保田と「スーパーマラドーナ」武智に対して、ふたりの漫才を聞いたこともないくせに、匿名で「正義の鉄槌」を下して興奮していた人たちは、すぐまた新しいターゲットを攻撃し始めるに違いありません。ふたりの暴言なんて足元にも及ばない汚い言葉を使いながら。やれやれ、お疲れさまでございます。

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