2018年12月25日 13:27 公開

イタリア・ローマ近郊モンテロンドの移民収容施設で、割礼(男性器の包皮の一部を切り取る風習)の失敗が原因で、2歳の男の子が失血死した。

この男児の双子の兄弟も割礼を受けたが、病院で手当てを受け、快方に向かっている。

地元メディアによると、施術した66歳の男が殺人容疑で逮捕・訴追された。

保健医療の慈善団体AMSIによると、イタリアでは毎年約5000件の割礼が行われているが、そのうち3分の1が違法に行われているという。

また非営利の文化団体(NPO)ARCIによると、割礼の儀式はモンテロンドの自治体が運営する難民収容施設で行われた。

ARCIはフェイスブックで「言葉にならない悲劇だ」と声明を発表し、責任の所在を警察が認定後に民事訴訟を起こすと述べた。

双子の兄弟は2017年、ナイジェリア出身の母親のもとでイタリア国内で生まれた。この母親には他に、ナイジェリアに5人の子どもがいる。

地元メディアによると、この母親自身はキリスト教カトリック信者だが、ナイジェリアのイスラムの慣習を尊重して兄弟に割礼を受けさせた。

警察は、担当医の資格を調べているという。

イタリアのANSA通信は、逮捕された男性はリビア系アメリカ人だと伝えた。

モンテロンドのアントニオ・ルピ市長は地元紙コリエレ・デラ・セラの取材で、「とんでもない悲劇だ」と話した。

イタリアの公共医療機関は現在、割礼を行っていない。

AMSIのフォアド・アオディ会長によると、民間のクリニックで割礼を受ける場合の費用は2000ユーロ(約25万5000円)から4000ユーロ(約51万円)の間だという。

その結果、貧しい人たちは「技術がないまま20ユーロや50ユーロで割礼を請け負う」無資格者に頼ることになると、アオディ氏は話した。

他国での割礼の事例は?

欧州では割礼は合法とされているが、近年は議論の的になっている。

ドイツでは2012年、イスラム教徒の4歳男児が割礼後に合併症を患ったことを受け、割礼は肉体を「永久的かつ修復不可能な形で変えてしまう」として、ある裁判所が管轄地域での割礼を禁止した。

しかしドイツ政府はその後、訓練を受けた施術者による割礼は合法だと明言している。

翌2013年には欧州理事会が各国に対し、医療的・衛生的に良い環境で割礼が行われるよう法整備を求めた。

2016年にはイギリスの裁判所で、母親が反対した場合、父親は息子に割礼を受けさせられないとする判決が出ている。


<解説>割礼は安全か? ――ミシェル・ロバーツ、BBCニュースオンライン保健編集長

医療行為としては比較的単純な部類に入るものの、包皮の一部を切除する割礼は全く危険性がないものではない。

医師が包皮切除を勧めるのは、男児や成人男性の包皮が異常にきつい、いわゆる真性包茎だったり、包皮や男性器が感染症にかかる亀頭炎の場合などだ。

また、この手術を受けた男性はHIV陽性の女性との接触でHIVウイルスに感染する確率が低いと示す研究もある。

割礼が他の性感染症を防ぐかどうかは明らかでないが、一部の研究ではヒトパピローマウイルス(HPV)の感染リスクを下げる可能性も指摘されている。

この手術の主なリスクは失血と感染だ。

イギリスの国民保健制度(NHS)によると、同国でこうしたリスクが発生する確率は10分の1から50分の1だという。ただし、これは若年層や成人男性の数字で、新生児は含まれていない。


(英語記事 Toddler dies in circumcision in Italy